どんな君でも〜 | ナノ

02


申し訳有りませんと謝罪して頭を下げた。


もう少しで、隊の名まで汚すところだった……


感情を抑えられない自分が情けない。
それがちゃんと解っていて尚、怒りが収まらない。

何も仰らない朽木隊長に申し訳無さが増しても、阿散井副隊長が優しく訊ねて下さっても。


「申し訳有りませんでした……」


謝罪の言葉以外、一言も発する事の出来ない私は、一点を見詰めたまま口唇を噛み締めていた。







くしゃりと頭を撫でた阿散井副隊長が退室して間も無く、近付いて来る霊圧に胸が痛んだ。


結局。
こうして私は檜佐木副隊長に迷惑を掛けるしか出来ない。
黙って居たって、ただ傍に居るだけで、彼を、檜佐木副隊長の名を貶めてしまう。

それなのに、やっぱり私は檜佐木副隊長が好きで、傍に居たくて。
自分の事しか考えられない、そんな自分に辟易しても……。


「紗也……」


目を向ける事も出来ない私に掛けられる、これ以上は無い程の優しい声音に、自分の想いが何れ程醜いかが解って叫び出したい衝動に駆られる。


「紗也」


名前を呼びながら、一歩、また一歩と近付く檜佐木副隊長が、触れられる距離まで寄って膝を落とした。


「紗也……」


私は……


「……もう、止めませんか」

「…………何、を?」


何を……、って、何をだろう……。

ただ……


「私なんかじゃ、ダメだったんです……」


ただ好きなだけで、傍に居て良いような人じゃなかった。

檜佐木副隊長には相応しい人が沢山居る。


其れは、私じゃなかった。


其れだけだ……。




「あの……」

「俺が、嫌か……?」

「っ…………」


狡い。


「なら、それを決めるのはお前じゃねぇだろ」


首を振った私を抱き締める檜佐木副隊長の腕が震えていた。


私は、狡い……


耳に響く逸い鼓動を嬉しいと思う、自分の浅ましさに涙が溢れた。







×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -