12.無骨な亡霊、再来
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駆けつけたのは人気のない倉庫群だ。
そのうちの一棟にほんのり明かりが灯っている。
中ではホークアイ中尉と、記憶力が自慢の細身の軍人、ファルマン准尉が待ちかまえていた。
もちろんふてぶてしく座っているバリーの姿もある。
「大佐!」
「あら?シャオリーちゃん?」
「バリー!あんた!今までどこにいたのよ!?」
「おー!あん時の錬金術師の嬢ちゃんじゃねェか!」
「こいつがあのバリー・ザ・チョッパーだというのは本当か?」
「さっきいくつか質問してみましたが、どうやら本物ですよ。引っかけにも乗りませんでしたし」
「んだよ!オレが偽物かと疑ってんのかよ!なんならてめェらきれいに解体してみせて…」
「やめなさい」
けたたましく会話が飛び交った。
とりあえず大佐が一同を静めて、場を仕切り直す。
「本物であることは認めよう。で、なぜ死刑になったはずのお前がここにいる?しかも、アルフォンス・エルリックと同じ鎧の身体で」
バリーは顎に手を当てて大佐を窺い見た。
「答える前にこっちも質問がある。おめェら軍人のようだが、オレがこんな身体になったことを知らなかったんだな?」
「ああ」
「OKOK!てぇことは、第五研究所のことも知らねェな?」
シャオリーは顔を引きつらせる。
「何のことだ?」
「アルフォンスってやつとその兄貴、それからそこの嬢ちゃん。三人が忍び込んで来てな。その時に闘ったのよ」
大佐が勢いよくシャオリーを振り返る。
シャオリーはふぃと視線を逸らしてそれを交わした。
大佐は構わずそのまま思考に沈む。
しばらくしてポツリと呟いた。
「賢者の石か…!」
さすがは大佐、お察しのいいことで。
まあ、こちらが賢者の石を探して奔走していたことは知っているのだ。
忍び込んだ理由として考え付くのは自然かもしれない。
もし、ヒューズ中佐の死について何か情報を得ているのだとしたらなおさらだ。
「バリー、詳しく話せ」
「オレの身体をこんなにしたやつらにチクらないで、かつオレを処分しないってェなら、洗いざらい吐いてもいいぜ」
「いいだろう」
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