生きている意味 | ナノ

02.小さな異変


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「いい里ね、ここは」


「また来たんだ」


「忘れないでね」


「シカマル」


――誰だ。聞いたことあるような、ないような声だ。


「仏頂面ね」


――余計なお世話だ。


「生意気」


――うっせーよ。


「シカマル」










「シカマル」




聞きなれた母親の声にうつらうつら目を開ける。

今日は予定はないはずだが。

「なに」

「火影様がお呼びだって。至急来るように、だそうよ」

「あーわかったよ、めんどくせー」





用件は何だろうか。

あの少女のことか。

耳聡いあの人のことだ、もう情報は入っているのだろうが。



しかし、いくつかの危惧はあるものの、朝一で呼び出されるほど事を急くかどうかはいまいち自信がない。

別件だろうか。





覚めきらない頭で支度を整え、火影であり、伝説の三忍の一人であり、五代目火影である綱手の元へ向かった。

























「シカマルか、入れ」

扉の向こうから凛とした力強い声が響く。

失礼します、と中に入ると、綱手とシズネが待ち構えていた。

「朝早くから悪かったな」





この一言にシカマルはほっとした。

どうやらそんなに深刻な用件ではなさそうだ。

少なくとも、挨拶をしている余裕のないほどには。





「いえ。で、何です、至急って話でしたが」

「うむ、実は気になることがあってな、お前の意見が聞きたい」

怪訝な顔をして、シカマルは目で先を促した。





「人が増えているんだそうだ」





「は」

「山岳地帯周辺にある小さな鉱山村だ。最近人口が増えているらしい」

「はあ、確かにあの辺りは過疎地ですが。そんなに急激に増えてるんスか」

「いや、穏やかに、だ。だが着実に人口を増やしている」










山岳地帯周辺は、以前は鉱山の採掘などで栄え、人口も一定数を確保していた。

しかし先の大戦で鉱物が採りつくされた後は、老人ばかりの住まう過疎地となり、日々の生活にも事欠くほどであると聞いている。

そのような地に人が流れているというのは確かに気になることではある。

退廃した地は反乱分子の拠点とされることも多い。







だが、早朝に呼び出した理由はそれだけではあるまい。







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