07.奈良家へ
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その日の夜、食卓に両親が揃ったところを見計らって、シカマルはマガナミの話を持ちかけた。
一通り話を終え、二人の反応を伺う。
すると、ヨシノが屈託のない様子でさらりと言った。
「うちに来てもらうことは構わないよ」
どうやら、あっさり許可は下りたようだ。
よかったんだか、そうでないんだか。
シカマルは複雑な表情で、とりあえず肩を撫で下ろす。
ただし、とヨシノは、眼光鋭くシカマルを射抜いた。
「あんたがきちんと責任を持ってフォローすること。いいね」
威厳に満ちた顔で念を押す。
わーってるよ、とシカマルがため息をつき、わかりましたでしょ、とヨシノに叱責される。
その様子を見ていたシカクが、くっと笑いを漏らした。
「まさかお前が女の話を家に持ち込んでくるとはな」
いかにも愉快そうにくつくつと笑っている。
「任務みたいなもんだっつってんだろ」
憮然としてシカマルが切り返す。
夫と息子が小競り合いを始めたのを横目に、ヨシノは席を立ち、台所へと入っていった。
それを意識してか、しないでか、シカクが顔を引き締めた。
「過程はどうあれ、その子はお前に預けられた。しかもどうやら訳あり、だ」
シカマルのほうに身体を傾け、諭すように呟く。
「お前が守ってやるんだ。いいか、女ってのはな、男が思ってるよりずっと強い。だがな、それでも、男は女を守るもんなんだよ。わかるか?シカマル」
確固たる自信を持って、シカクはにやりと笑う。
「オレにはその手の話はわかんねーよ」
シカマルは、父親が時に見せる、自分の理解を超える一面に、たじたじとなった。
「お前にもそのうちわかるさ」
不敵な、しかし温かい笑みを浮かべ、シカクは顔を背けた。
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