生きている意味

05.嵐の日の真実


(1/8)


サクラは最近、五代目の元について修行をしていると聞いている。

この時間なら五代目のところにいるだろう。





シカマルは、火影の執務室へ向かっていた。

一番二人がいる可能性が高いし、いなかったとしても行き先を聞くことはできると思ったからだ。

しかし、できれば五代目に会うのは避けたい。

おそらく彼女は、シカマルが何の目的でサクラを訪ねてきたのか、真っ先に気づくだろう。

一度任された以上、口出しをされるいわれもないと思うのだが、あの方の機嫌を損ねるのは恐ろしい。










鳥がいっせいに羽ばたく音に耳が反応する。

飛び立った元の方向を向くと、そこは木ノ葉の演習場のひとつだった。

そこからなにやら破壊音や怒声のようなものが聞こえてくる。





近づいていくと、地を揺るがすような轟音と、恐ろしいが、確かに女性のものである力強い発声が響いた。

さらに詳しく言うなら、これはサクラと五代目の声に違いない。

どうやら実践訓練の最中のようだ。

シカマルは、そっと演習場の中に入っていった。










この演習場は円に近い形をしている。

出入り口から入ると開けた平地があり、その周りを囲むようにして、森が三日月状に広がっていた。





演習場の地面には、いたるところに大きな穴が開いていた。

その穴の合間を縫うように深いヒビが走っている。

二人の姿は見えない。

しかし、北東の方角の森が騒がしく揺れ、時折、木が倒れる音が聞こえる。

今はあそこで組み手を行っているのだろう。





綱手に見つかりたくなかったシカマルは、入り口の左手にある森の中に入っていった。

ここで二人の修行が一段落するのを待ち、サクラに声をかけるつもりだった。

大きな木の幹に身体を寄りかける。





ひときわ大きな打撃音と同時に、短い悲鳴が聞こえ、何かが勢いよく転がってきた。

砂煙が立つ。



サクラだ。



「どうした、受身も取れんのか。医療忍者の負傷が隊の命運を決めると教えたはずだが」

森の中から綱手が厳しい表情で出てきた。

サクラが苦しそうに顔をゆがめて立ち上がる。

「もう一度、お願いします」

「いいか、戦闘において必要なのは、瞬発力と判断力だ。一瞬の迷いもあってはならん。攻撃と回避、優先すべきは回避だ。防御ではない、回避だぞ。だからといって、防戦一方では、次第に追い詰められるのは必至。相手の隙をうかがい、チャンスがあれば迷わず打て」

「はい」

「では、私の攻撃をかわしつつ、私に一撃入れてみろ。かするだけでもかまわん」

「はい」

「いくぞ」

気合の一声とともに綱手がサクラに突っ込んでいく。


(1/8)

- 17/232 -

[bookmark]



back

[ back to top ]

- ナノ -