生きている意味

16.いの、帰還


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虫たちが囁き合う木ノ葉の里を夜の戸張が優しく包む。

月が照らす大門の前に数人の影が降り立った。

任務に出ていた小隊が、里へ戻ったところである。

その中の一人のくノ一が大きく息を吐き、肩にかかった髪を払った。

高い位置で結われた金色の髪は、それでも腰まで届くほどの長さがある。

「はぁー、やっと着いたわぁ」

山中いのは、久々に仰ぐ木ノ葉の里に目を細めた。

「皆、長い間ご苦労だった」

隊長と思われる男が一同を見渡し、声を掛ける。

皆ホッとした表情で頷いた。

「今日はここで解散だ。報告は私と山中くんでしておく。帰ってゆっくり休んでくれ」

男は笑みを浮かべ、里内へと続く門を開いた。

メンバーは挨拶を交わし、それぞれの家へと散っていく。

その顔は、ようやく任務から解放された安堵に満ちていた。

再び静寂を取り戻した里の入り口には、隊長といのだけが残される。

いのに目を合わせると、隊長は大きく肩を竦めた。

「本当なら君にも、帰って休んで、と言いたいところなのだが」

いのは端から諦めているといった表情で首を振った。

「いいえ。私は、綱手様の弟子になったんですから。師匠が来いというなら、そこに行くだけです」

隊長は一つ頷くと、じゃあ行こう、と地面を蹴った。






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