生きている意味 | ナノ

14.動き


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「鉱山集落の定期連絡に動きがあった」





綱手からの連絡を受け、シカマルは火影の執務室に急いだ。

「それで、動きっていうのは」

「うむ。小隊の連絡に齟齬が出た。やはり以前と同じだ。今回、報告された村人の人数が前回と比べて増加していた。しかし、小隊は人数が増加したとは認識していないようだ。『村人の人数に動きなし』と書かれている」

「そうっスか…」

「ただし」

綱手は机の上で組んでいた両手をほどいて、一枚の報告書を取り上げた。

その中身を一瞥した綱手が、鋭い視線をシカマルに向ける。

「三小隊のうち二小隊だけだ」

なるほど。

シカマルは自分が三隊派遣させた理由を思い返していた。

三隊をそれぞれ、集落内、集落外近距離、集落外中距離に配置し、その幻術か何かの術の影響がどの範囲まで及ぶかを確認するためだ。

すると、おそらく情報に齟齬がなかった一隊は集落外中距離、最も集落から遠い位置に配置された隊であろう。

となれば、影響が及ぶのは集落周辺までということになる。



しかし、シカマルの推測は的を外すこととなる。



「残る一隊というのは、一番遠い場所に配置した隊ですか」

シカマルの問いに、綱手は複雑な表情を見せた。

「それがな…正しい情報を寄越したのは、集落外近距離、つまり中間に配置したキバたちの隊だ」

「え…」

思いがけない答えにシカマルは言葉を詰まらせる。

綱手もこの結果を持て余しているようで、歯に物が詰まったような顔をしている。

つまり、村に一番近い集落内と一番遠い集落外中距離の部隊は術の影響を受け、中間に位置する集落外近距離に配置した隊だけがぽっかりとその効果を逃れたということになる。

一体どういうことなのだろうか。

「妙っスね…」

「だろう?」

室内に物問いたげな沈黙が流れる。

しかし、答えてくれる者はこの場にはいない。





やがて、ここで固まっていても仕方がないと考えたのだろう、綱手が顔を上げた。

「この件に対する検証と解析をお前に任せる。答えがわかり次第、早急に報告に来るように」

シカマルは頷いた。

確かに少し時間をとって考えた方がよさそうだ。

「了解」

「よし、行っていいぞ」

「では、失礼します」

踵を返し、ドアに手をかける。

すると、背を向けたシカマルに綱手が声をかけた。

「そうだ、例の少女にまつわる侵入者の件だが、今のところ怪しげな人物は見つかっていない」

「そうですか。家の周りにもそれらしい人物は見当たらないっス」

「うむ。一応、今後も警戒を続ける。以上だ」

「わかりました」

再度礼をして、シカマルは執務室を後にした。





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