生きている意味 | ナノ

13.任務


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樹上から様子を伺う。

ゴロツキたちの本拠地は、山里の外れに建つ古びた倉庫だ。

汚れた窓ガラスから、中で大勢の人間が動いているのが見える。

せいぜい20人というところか。



さて、親玉はどこにいるのだろうか。



三人は視線を絡ませ、無言のまま小さく頷く。

「サワト」

「はい」

サワトは静かに印を組んだ。



「起風」



彼の言葉と同時にふぅと風が囁いた。

これで風を呼ぶのだ、と彼は言っていた。

幻術の準備だという。

更に印を組む。

数回組み変えたところで、サワトは倉庫を見据えた。



「幻風…」



ザワ、と周囲がざわめく。

風が意思を持った流れとして動き出した。



「芥子夢想」



術の発動と共に、辺り一帯を芥子の花が舞い始めた。

真っ白な花弁がクルリクルリと舞い落ちる。

まるで雪が降り積もってゆくようなその情景は、傍から見ていると優雅で美しい。

外の異変に気付いたゴロツキたちが、何事かと外へ出てきた。

しばらく不思議そうな顔をしていた男たちは、やがて意識を手放し、白い花の上に倒れてゆく。



芥子夢想の効力は催眠だ。



倒れる仲間に驚いて駆け出してきた男たちの中に、右目の上に刀傷のある男を発見した。

あいつが親玉か。

「忍法・影真似」

シカマルは印を組んで影真似の術を発動させた。

白い花々の上にくっきりと浮かんだ黒い影に向かって、自分の影を素早く伸ばしてゆく。

そしてそれは、いとも簡単に相手の影を捉えた。

唐突に自由の利かなくなった身体に、男は声を荒げて動揺する。

その動揺が、周りの仲間たちにもダイレクトに伝わっていった。

「よくやった。残りはオレがやろう。サワト、本当にあの空間に入っても大丈夫なんだろうな」

「先輩がさっきの錠剤を飲んだふりしてこっそり吐き出してなければね」

「そんな子どもみたいなことするかよ。よし、お前らここで待ってろ」



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