生きている意味 | ナノ

14.動き


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なぜ村人は人口の流入を認識していないのか。

その原因を探っている間に、更に不可解な事態が生じた。

問題は、暗部から届いた最新の報告書だ。



『村人の人数に動きなし』とある。



では、人口の流入は止まったのかといえば、そうではない。

前回の報告書と数字だけを比較すると、村の人口はまたも増加しているのだ。

にもかかわらず、それを暗部の人間は認識していない。

村人と同じ立場になってしまったわけだ。

幻術か何かが村に掛けられているのだろうか?



シカマルはこの時点で五代目に呼ばれている。



原因を突き止め、正確な情報を入手するため、シカマルは三小隊を現地に派遣することを提案した。

集落内、集落外近距離、集落外中距離に配置し、その影響がどの範囲まで及ぶかを確認するためだ。



その結果は輪をかけて不可解だった。

定期連絡の数回目、やはり今回も暗部の時と同様、人口の増加を認識しなくなった。

しかし、三隊のうち一隊だけ、影響を受けず人口の増加を報告してきた隊がある。

中間に位置していた第八班だ。

集落内にいた隊でもなく、一番遠方の隊でもない、中間の隊が影響を免れたということになる。



幻術もしくはそれに類する術の発動によって、一種、村は結界が張られているような状態にあるのではないか。

それが当初のシカマルの目算だった。

そのエリア内に入った者は、しばらくいると術の影響を受け、正常な判断力を失う、と。

だからその術が及ぶ範囲を特定しようと考えた。

しかし、話はそう単純ではないようである。

中間の隊だけ影響が及ばなかったのは何故だろうか。



術者が影響範囲を細かく設定できるのだろうか。

いや、そんな都合のいい術があるのか。

あったとしても、かなりのチャクラコントロールを必要とされるはずだ。

それを継続的に掛け続けることなど出来るのだろうか。



では、術者が複数いるというのはどうか。

数か所に配置された術者が術を発動しており、何らかの理由で対象から外したエリアがある。

そこに第八班が陣取った、というのは。

だが、中間のエリアをわざわざ術の対象から外す理由は思いつかない。

なにか目印になるものがあるような場所でもないからだ。

もしや、隊の存在を把握されているのだろうか。

隊の存在を把握した上で、あえて中間の隊だけ術から外した、とか。

とするとその意図は何だ?



わからない。

わからないが、なんとなく気持ち悪い。

考えを進める度にひやりとした感覚が背中を走る。

進む道の至る所に穴が開いているようで、なんとも心許ないのだ。

何か重要な要素が抜けているのではないだろうか。

もっと別の見方をする必要があるのかもしれない。



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