物体xと凶悪犯s




『…何ですかコレ』


「さっき町で見かけた新商品なるお菓子さ」


『明らかに凄まじく黒いオーラが見えるんですが』


「深い味わいを表現しているんだね、素晴らしい!」


平べったく丸いそれは
一見クッキーに見えるが
明らかに失敗作
見た目はドス黒い
例えるなら雷光さんの
中身を表現していた

こんなものがお店に
売っているはずはない


『ちょっと俄雨、これ本当にお菓子?』


「雷光さんが言うんですから違いありませんよ☆」


語尾に殺意が湧いた


「さっ、召し上がれ」


雷光さんはいきなり
その黒い物体を1つ持って
口に押し付けてきた


『はっ、ちょっと無理やり押し付けるとか駄目ですよ、私のタイミングを尊重して!』


「いつまでもずるずる時間を引き延ばして食べない気なのかい?」


『うっ、だったら雷光さんが先に食べてくださいよ!』


「私はその様なことは出来ないよ、君のために買ってきたんだから…」


拳を胸にあて
悲しい表情をするドS様

今はその拳でアッパーを
くらわしてやりたい


「素晴らしいです雷光さん!さ、食ーべて、食ーべてー♪」


『そこ、かつぐなぁ!』


「さぁさぁ」


口を大きくして叫んだあと
その一瞬のすきをみて
黒い物体を口の中にいれられた


『むぐっ?!』


雷光さんの手で口を押さえられ
吐き出そうにも無理

いや、吐き出したりしたら
首を絞められるだろう


「はい、よーく噛みましょうねー」


『んーぅーぅー…ぅ』


「…おや、落ちたね」


だらりと床に倒れ込んだ


「凄まじい威力だ、俄雨、買占めに行こう」


「はい、雷光さん!」


そのまま凶悪犯は
謎の殺人お菓子を
買占めに行った



*――*――*



「ゆきみ」


「あー何だ?」


「これ」


「おぁっ、雷光にやられたか…」


「…ご愁傷様」


『まだ死んでねぇ…ぐはっ』







TOPへ戻る
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -