小娘は小娘だ


わたしにとっては
それ以上でも以下でもない


見下していたが、
思ったよりできる小娘だ


私にハッキリと物を申すとは、今まで関わってきた輩よりもできる―男だったら出世できたに違いない


『………』


「小娘よ、あからさまに嫌な顔をするな」


『だって―』


一時的に薩摩藩邸に預けられた小娘は不機嫌だ

私が嫌いなのは知っている
反対に坂本くんたちを
好いているのも知っている


それに腹が立つ


「只で居座る気では、無いだろうな…?」


『…もちろんでーす』


はぁ、躾のなっていない―


「こっちに来てみろ」



一瞬眉間に皺を寄せて、
珍妙な服の裾を揺らして
目の前に腰を下ろした


「そんなにわたしが気に食わないか」


『別に、気に食わないとかそんなのじゃなくて…ちょっと苦手っていうか、何ていうか―』


「くくっ」


率直に真正面で聞くと、こんなにも動揺するとは―良いものを見させてもらった


『なっ、なに笑って―』


顎に人差し指を掛け
口付けをしてやった





「**―光栄に思え」



月 隠



*11.03.07*





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