「1999年の八神太一」


「2000年の本宮大輔」


「2001年の松田啓人」


「2002年の神原拓也」


「2006年の大門大」


「2010年の工藤タイキ」


「2011年の明石タギル」



『…自己紹介終わりましたか???』


「おう、一応こんだけ人数いるからな」


そういって小学5年生の太一が私に話しかける。

すっかりデジモンアドベンチャーの主人公よりも年をとってしまった。年月が流れる現実が少し悲しく感じる。


「デジモンシリーズを愛してくれる**さんに、ちゃーんと覚えてもらいたいから!特に俺ね!!!」


にひっと笑うタギルに手を握られ、ただただそのキラキラ光る瞳を見つめる。どうすればいいのか、とりあえず笑顔を返して手を引こうとする…けど、離れない。
意外と握力強いな、この子。バスケの力か…。


「ターギール。**さん困ってるんだから、離してやれよ」


「俺タイキさんと同い年だから、言うこと聞く必要ありませーん!ね、**さんっ」


『えーっと…それは違う、ような』


「そそそそうだぞ!その手を離しやがれ!!!」


「んーっと、大輔だっけ?お前のゴーグルかっけーな!太一って人とお揃いか???」


「え、あ、そう…そうだ!!!太一さん小5だから、お揃いだ!!!やべ、嬉しすぎるぅぅぅ…!!!」


「お、おい大輔、そんな涙流さなくても…」


「全員ゴーグル装備か…ゴーグル装備してない俺が目立つぜ〜。な、**!!!」


と、私の首に腕を回してくる大に思わず心臓が跳ねた。


『うっす…兄貴』


「どうしたんだ**???」


『す、スキンシップが激しいっす…』


キョトンとした表情で顔をのぞき込んでくるものだから、反射的に逆方向に顔をそむけた。すると、視界に入るのはタカトを慰める拓也の姿。


『ど、どしたの?』


「あー、いや、今年はテイマーズ15周年なのに目立たないって…」


「どうせ僕は歴代主人公の中でも地味でリーダーシップの無い へなちょこ主人公ですよぉ…」


そう言って項垂れるタカトの元へ駆け寄る。


『そ、そそそそんなことないって!えっと、そのー、タカトは…あのー、あ!パン屋さん!そうそうパン屋さんじゃん!歴代主人公の中でも他にパン屋さんいないじゃない!凄いよパン屋さん!!!』


「**、それタカトじゃなくてパン屋褒めてるだけだぞ」


「うぅ、みんな嫌いだぁああああ!!!」


『ちょっとケンカ番長謝って!!!』


大が余計なこと言うから、タカトはダンゴムシのようにうずくまって泣いてしまった。なんてややこしい…。


「主人公界も弱肉強食だな」


「そうっすよね」


「うぅ…ギルモン…グラニ…」


『た、タカト…』


「どーせ…**さんも、僕よりジェンの方が主人公っぽいって…思ってるんでしょ?」


そう言われて、テイマーズのことを思い出した。

2001年の、冒険。


『そんなこと無いよ…歴代主人公の中でも、タカトは一番心が優しくて、まあ…頼りない部分もあるけど、冒険の中で一番成長した主人公だと、私は思うよ』


「そ、そう…かな?へへっ」


「(ちょろいな)」


「(ちょろい…)」


「(ちょろすぎ)」


「(ちょろいぜ)」


「(ちょろいだろ)」


「タカトお前ってすげー奴なんだな!!!」


「えっ、」


温かい雰囲気に包まれたこの場を、タギルがより一層和ませてきた。


「俺お前んちのパン食いたくなったぞ!!!」


「そう?えっと、ギルモンパンなら…持ってきているんだけど」


「っひゃー!何だよそれ、デジモンの形のパンか!すっげー!!!」


「えへへ〜」


「…タカトの立ち直り早いな」


『ですね…』


呆れ顔の太一も、何だか楽しそうで。


「まあ、今年もメモリアル祝えて良かったぜ」


大切な記念日を忘れるわけ無い。

冒険が始まった日。

その冒険は終わること無く、進化を続けている。


『来年も、再来年も…ずっと私たちは祝いますよ』


「おう。来年の夏も楽しめそうだな」




「あ、来年はフロンティアをヨロシクな!!!タカトー、俺もパン食べる!!!」


Happy Summer Memory!!!
(なーにしてんのー?)
(バカ!ネーモンバカ!来年はフロンティア15周年ということを忘れたマキか?!!)
(あー、そんなきもするー)
(大々的に宣伝して、がっぽり儲けるハラ〜)
(しゅせんど?)
(ゴームパッチン!!!)



∞2016/08/01

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