宵風が泣いていた 涙を見たわけじゃないし 泣き声を聞いたわけでもない 只、両手で顔を覆って 蹲っていたから― そっと近づいて 何も言わないで腰を下ろす 『今日は雨が降って暗いね』 「………」 『でも雨好きだな』 「………」 『果てしなく大きくて、悩みもなく青々としていれば、こうして涙も流す…』 「**は、悲しいの?」 起き上がり涙目で聞いてくる 『宵風が悲しいなら私も悲しいよ』 「ごめん…」 そう一言放って 私の首筋に顔を埋めてくる 『何かあった?』 「思い出したの、夢見て―」 『そっか』 まだ続きがあっただろう でも、言わせたら もっと泣くと思った 『人は愛されて生まれてきたんだよ』 「…でも―」 『そんなこと分からないね』 「?」 『生まれてきたときの事なんて勿論のこと覚えてないし、愛すことも愛されることも分からない』 当然30年も生きてないもの生死は理解しているつもりだが 愛など現状からすれば程遠い 「**は好きな人いないの?」 『ん、宵風は?』 「……………**」 『あはは、今の間はなに?』 「だって…愛すことも愛されることも分からないって―」 『まぁ…そうね、でも私たちの思いは愛してる、というより好きってことじゃない?』 「…うん」 『宵風好きだよ』 「僕も好き」 ぎゅっと抱き締める 細いな…と、悲しくなる 愛され生まれてきた (宵風が生まれ変わるときはちゃんと私はあなたを愛している) だから、もうちょっと好き ♪...Still fou your love *10.01.27* TOPへ戻る |