「ホーガン家の一日」
――6:00
ル「はよ…ふわぁ〜…」
ク「随分と眠そうだな。どうせ夜中までゲームしてたんだろうけど」
ル「……顔洗ってくる」
ク「図星か」
レ「おはよう」
ク「おはよう。今日は何時から仕事だ?」
レ「9時から雑誌のインタビューだってよ。面倒だな」
ク「人気のプロデュエリストなんだから仕方ねぇだろうが」
レ「ま、そうなんだけどよ…」
ク「そんじゃ、昼飯はいらねーな」
レ「いや、いる」
ク「はぁ?だってその流れは外食だろ!」
レ「いるって言ったらいるんだよ。つべこべ言わずに作る!」
ク「この野郎……」
――6:30
ル「クロ兄、できれば今日の弁当は量多めにしてくれよ」
ク「あぁ、体育でもあんのか?」
ル「そ。しかも四時間目に」
ク「確かに四時間目体育は腹減るよなー。分かった分かった、多めにしとくから」
ル「サンキュー、クロ兄ー」
レ「あれ……俺の香水……」
ク「中身が空になってたから捨てたぞ」
レ「あれ、もう空になってたっけ…。仕事の帰りに買ってくか…」
ル「クロ兄、ゴミ捨ててくるな」
ク「おう、頼んだぞ」
レ「ついでにこの封筒をポストに出しといて」
ル「はいはい」
――7:00
ク「飯できたぞー、運べ」
レ「兄貴を顎で使うのはお前くらいだろうよ」
ル「文句言わずに弟の言いなりな兄も、兄貴くらいなもんだ」
レ「だろうな」
ク「そこで否定しねーもんな」
レ「反論したら飯抜きにされるのは辛い」
ル「(されるのは兄貴だけだけどな)」
――7:30
ル「行ってきます!」
ク「忘れもんは?」
ル「ない、何度も確認した!」
ク「おし、行って来い!」
レ「行ってらっしゃいー、気を付けて行けよー」
――8:00
レ「クロウー、スーツの上着どこー?」
ク「居間の方に掛けてある」
レ「居間か(バタバタ…」
ク「えっとー…?今日の講義割なんだっけ…」
レ「クロウー、俺のバックがいつものとこに無いんだけどー」
ク「あれは丁度洗って、リビングの……ちょっと待て!ストップ!」
レ「お?何だ?」
ク「ネクタイ!曲がってんぞ!!ちょっとこっちに来い!」
レ「自分じゃわかんねぇー」
ク「あーもう、ジッとしてろ…(ガシッ」
レ「………」
ク「………」
レ「………クロウ」
ク「んだよ」
レ「やっぱお前、俺に似てるわ」
ク「あ?(キュッ」
レ「ぐっ!!しっ、締まってる…っ!クロウ締まってる!」
ク「おー、悪い悪い。力入れ過ぎたみてーだ」
レ「ゴホッ…そ、そんなに俺と同じ顔は嫌かよ…っ」
ク「兄貴と同じ顔ってだけで、中身まで変態扱いされんのはな…」
レ「なんだよその…普段から俺が変態扱いされてるような言い方…」
ク「“されてるような”じゃなくて“されてる”んだよ」
レ「何それ初耳ー。ま、男はな皆変態なんだよ」
ク「ネクタイ結び終わったぞ」
レ「え、あ、本当だ。サンキュー、クロウ。後、さり気無く俺の発言を無視すんな」
――8:30
レ「そろそろ行ってきますー」
ク「忘れもんないか?」
レ「どっちが兄か分かったもんじゃねーな…」
ク「どう考えても俺の方がしっかりしてるだろ」
レ「否定出来ねぇ」
ク「そこは否定しろ」
レ「ごめんなさいー。そんじゃ、行ってくる」
ク「気を付けて行けよー」
――16:30
ル「ただいまー。買い物してきたぞ」
ク「お疲れさんー。冷蔵庫にデザート入ってるから」
レ「……なんかもう、お前…母親だよな」
ク「……長男がダメ人間だからな。次男がしっかりするしかねーんだよ」
レ「うわー、このデザート美味しいー」
ル「兄貴…わざとらしい…」
ク「兄貴、それ食い終ったら大人しく風呂洗えよ」
レ「……分かってるって」
ル「(兄貴は尻に敷かれてる夫って感じだよな)」
――7:00
ク「飯できたぞ」
ル「俺、運ぶよ」
ク「さすがルック、お前は(兄貴と違って)良い子だなー」
ル「(心の声聞こえた)」
レ「(心の声がハッキリと聞こえた…)」
――8:00
ク「そろそろ風呂入るかなー…」
レ「お兄ちゃんが一緒に入ってやろうかー?」
ク「は?沈められてぇの?」
レ「首から下までは湯船に沈むけど」
ク「俺が頭まで沈めてやるよ」
レ「俺シャワーだけでいいや」
ク「遠慮するなよ、せっかく風呂の中にお湯溜めたのにさ」
ル「俺、突っ込まないからな」
――8:25
ル「兄貴、冷蔵庫にデザート残ってる」
レ「よし、食うぞ」
ル「クロ兄の分かもよ?」
レ「今のうちに食っとけ。その間に俺がなんか買って来るから」
ル「……怒られたくないんなら食べなきゃいいじゃねぇか」
――8:50
ク「……なんでデザート増えてんだ?」
ル「兄貴が買って来た」
レ「やっぱほら、夜って甘いもん食いたくなるよな」
ク「なんで俺が作っておいたデザートは無いんだ?」
ル「………」
レ「………食べた」
ク「……そんなこったろうとは思ったけどよ…。まあ、良いわ」
レ「………(ホッ」
ル「………すっげぇ安心してる」
――9:30
ル「あーサッパリし…うおっ」
レ「なんだ?どした?」
ル「あ、あぁ…なんだ…髪の毛乾かしてんのか…兄貴が二人居るように錯覚したわ…」
ク「…………そんなに…似てんのか…?」
ル「似てる。正直…クロ兄が兄貴くらい身長伸びて、髪の毛下されると…弟の俺でも分かんねぇ…」
レ「ほら。やっぱあんまり年も離れてねーから、余計に俺に似てんだって」
ク「整形っていくら掛かる?」
レ「ちょっと!?どんだけ俺と同じは嫌なんだ!」
ル「いいじゃん別に。兄貴は無駄にイケメンなんだから、クロ兄もイケメンって事だろ?」
レ「……無駄にって…」
ク「……イケメンで得することあんのか?」
レ「ある!女の子は寄って来るし、深夜には男も捕まえられる。買い物に行けばまけてくれる」
ク「一部余計なもんが混じってんぞ」
ル「成程、そうして男も捕まえてたわけか…。俺イケメン部類じゃなくて良かった」
レ「甘いなルック、お前も俺似なんだよ」
ル「な、なんだって!?」
ク「しかもお前は一番の童顔だからな…夜道は気をつけろよ」
ル「や…止めろよそういう冗談……」
レ「いや、気を付けとけよ?ルックみたいな童顔が夜道歩いてたら、俺だったら間違いなく拉致ってホテルだぜ?」
ク「お前は警察に行け」
レ「冗談が通じないなー」
ル「……歩いてたのが遊兄や勇星だったらどうなるんだ」
レ「え?お持ち帰りに決まってんじゃん」
ク「(ピッピッ)もしもし?夜分遅くにすみません、警察ですか?」
レ「通報すんな!!冗談だから!」
ル「目がマジだったぞ」
――10:30
レ「眠い……」
ル「……寝れば?」
レ「……おやすみ(ドサッ」
ク「ぐあっ!おも……っ」
レ「あー…寝れそう……」
ク「ぐ……、どけ…っ!重い…!」
レ「お前抱き心地最高(ガシッ」
ク「やめろぉおっ!しがみつくなぁあ!気持ち悪い!」
レ「……んだと…?(ギューッ」
ク「おまっ…締め付けんな…っ!」
レ「俺でもたまには怒るぞ」
ク「うぅ……っ、内蔵出そう…っ」
レ「さーて、散々お兄ちゃんを侮辱してくれたお仕置きは、どうしようかなー…」
ク「……俺でもたまにはキレるぞ…」
レ「部屋に戻って寝るかなー…」
ル「(結局怖いのか)」
――11:00
ク「俺もそろそろ寝るかな」
ル「お。おやすみ」
ク「ルック、ゲームで夜更かしもほどほどにしとけよ」
ル「うっ……分かってるって…」
ク「そんじゃ、おやすみ」
ル「おやすみー」
――1:30 全員就寝
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