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後悔した先には




※死ネタ









どこかの誰かが言っていた。
好きと嫌いは裏返し。
嫌いは好きで、好きは嫌い。
でも、やっぱ嫌いなもんは嫌いさ!


「俺、お前が嫌いだ」

「私もラビさん大っ嫌いです」


一目見た時から気に入らなかったこの女。

名前はなまえと言う。

女のくせに強気で、絶対に守られるなんてことはしない。
そんななまえが大嫌いだ。


「じゃ、今回の任務はラビとなまえで行ってね」


そんな矢先での任務。

二人の仲が最悪なのは知ってるけど任務だから、と言って逃げたコムイが憎い。


「うっわまじ最悪」


…こいつの方がもっと憎い。


「足引っ張らないでくださいね。ラビさん」

「お前こそAKUMAにやられても助けねぇからな」

「結構です」


かっっっわいくねぇーーー!
こんなに可愛くない女は初めてさ!


「ラビ、気をつけてね!」

「ありがとさ!リナリー!」


やっぱリナリーみたいな可愛い女の子が一番!
アレは女とは認めん。


「鼻の下伸ばしちゃって…気持ち悪」


んにゃろう!?
今こいつなんつった!?


「なまえも気をつけてね!」

「勿論!どっかの馬鹿うさぎが足手まといにならなかったら大丈夫よ!」

「二人は相変わらずなのね」


相変わらず仲悪ぃさ。

しかも、なまえは俺にしか敬語を話さない。
それも、態度も、性格も、話し方も何もかもが大嫌い。

「行ってきます」を言って任務地へと向かう。

向かう汽車の中は当然無言。
俺が時折、ファインダーの子と喋るぐらい。

窓の外をずっと見ているなまえは何を考えているのだろう?

いやいやいやいやいやいや俺の方こそ何考えてるさ!
なまえのことなんて、どうでもいいだろう!?

意外と顔は可愛い系だよなーとか、横顔綺麗だなーとか、睫毛長ぇなーとかあぁもう馬鹿か俺は!


「何人の顔見てるんですか。変態ですか」


そうブスッとした顔は、心なしかほんのり赤い気が…。


「照れてんの?」

「はぁ!?何言ってるんですか!?頭沸いてます?」


そう早口で言った後、すぐに窓の外へと視線を逸らしたなまえ。
言い方は可愛くねぇが、少し拍子抜けしてしまった。

…なんだ、可愛いとこもあるじゃん。


「ここか…」


ついた街は寂れてしまっていて、人の気配など皆無。

そんな中、すぐに出てきたレベル1のAKUMAたちは、大量に人の血を浴びた後だった。


「進化しやがったさ…!」

「この数のレベル2…めんどくさいわね」


ファインダーには隠れてるよう指示し、俺となまえは膨大な量のAKUMAの中に突っ込んで行った。


「くっそ!キリがねぇ!」


倒せども倒せどもAKUMAたちはいなくなる気配がない。
むしろ増えてねぇか?

…なまえは大丈夫さ?

大嫌いなあいつを心配する俺。
一体どうしちまったんだ?


「く…っはぁ!」


血まみれになりながらも引けを取らない戦い方。
女とは思えねぇさ。


「うわぁぁぁぁあ!」


いきなり聞こえたファインダーの叫び声。
気づいてしまったAKUMAが攻撃するところで。


「しまった!間に合わねぇ!」


眩い光を発して、容赦なく打ちつけた。

煙が晴れたときにはそこには、ファインダー…じゃなくなまえ…?


「なまえ!?」


最後のAKUMAを倒し、すぐさまなまえのところに駆け寄る。


「おい!大丈夫か!?」

「…っせぇ…ボ、ケ…」


ファインダーは謝り続け、なまえの目は虚ろ。
不幸中の幸いだったのは、なまえが寄生型だったことぐらい。
でなかったら、今頃AKUMAのウイルスに侵され粉々だ。


「ラビ…さ…」

「喋んな!今応急処置すっから」


失いたくない。
ただそれだけだった。
あんなに嫌っていたはずなのに、死んでほしくない。

どこかの誰かが言っていた。
好きと嫌いは裏返し。
嫌いは好きで、好きは嫌い。
俺は、なまえのこと…。


「好き…」

「は…?なまえ?」

「ごめ、んなさい…ラビさ…ん…好き…で…した…私…」

「何言って…今更…」


なんで今そんなこと言うんさ…!
それじゃ、まるで死ぬみてぇな…。


「可愛く…なく、て…ご…めんな…さい…一目見た…時から…好きだった…」

「もういい!黙れ!」


どんどん溢れてくる血が、彼女はもうじき消えることを意味している。

んなことさせねぇさ…!

気がつけばいつも目で追っていて、男と喋ってるところを見たら酷く苛ついた。
気がついてはいたんだ。
でも、なまえが嫌いと言う度、自棄になって同じ言葉を返した。
今更素直になんかなれるはずがない。
そうやってお互いに意地を張ってきたんだ。

くだらないプライドに縛られて言えなかった。言わなかった。


「俺だって…好きなんさ…!だから死ぬなっなまえ!」

「その…言葉だけ…で…じゅうぶ…っ!」


ヒューヒューと喉が鳴り、血を吐くなまえ。


「ラビ…どこ…」

「俺はここさ…!」


もう目が見えていないのか、右手を宙に上げる。
その手を取ったらなまえが微笑んだ。

綺麗に笑った。


「ラビさん!なまえさんをこちらに!」
「もう少し頑張ってくれ…っ」


帰ったら一緒にいよう。
次は嫌いじゃなくて好きって言い合おうよ。

せっかく想いが通じたんだからさ。

だから、死なないで。
冷たくならないで。

神様、いるんだったらこの人を…俺の大事な人を殺さないで…!


「生きて…」

「っ!」


目は閉じられ、上げていた手が降りる。
なまえから生気が感じられない。


「嘘…さ…?なぁ、なまえ…ぁ…ああああああああああああっ!」


それからどうやって帰ったのか覚えていない。

なまえが…死んだ。

そんなの嘘さ。





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中途半端ですみません。
プライド高い人の後悔する姿が大好ぶげふんげふん


(2012.4.13)









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