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きっかけとは




「俺、みょうじのことが好きだ!」


藤堂平助に告白された私。

何これドッキリ?ドッキリなの?
どこからか、テッテレー!ドッキリ大成功!とか出てこない?

藤堂平助と言えば剣道部の若きエース。
剣道部ってだけでもモテるのに、元気で明るくて、更に人懐っこい性格も手伝って、一年生で一番モテる。

そんな彼が私に告白など天変地異、槍が降って、異世界に取り込まれて、私は世界を救う勇者になってしまうに違いない。


「おーい、聞いてるかー」

「わかってるわ…。できないなんて言ってちゃダメなのよね…私は世界を救ってみせる!」

「戻ってこい!」


ガクンガクンと肩を揺すられてハッとする。

これは夢だ!


「おい」

「いででででで」


自分でも吃驚するぐらい伸びた頬をさすって、漸く現実に戻ってくることができた。

で、何の話しだっけ?

…あ、告白だ!
告白ぅぅぅぅぅぅううううううう!!?


「ま…マジすか…?」

「まじ!俺本気だから!ドッキリとかじゃないから!」


彼の本気ぶりを見たら、どうやらこれは本物の告白らしい。

確かに誰かが見ているような気配はない。
元々、気配なんて読めませんが。


「り、理由を聞いてもいいですか…?」

「理由、はな…この前の体育祭での話しなんだけど、」


おぉ、そういえば一週間ぐらい前に体育祭なんてインドア派が涙しそうな行事があったな。
実際私は涙したところか、貧血でぶっ倒れて保健室祭だったけれども。


「みょうじが怪我した俺を手当てしてくれた時に…好きになったというか…」

「て…あて…?」


あの時は、私はずっとベッドで寝ていたわ。
誰かが入ってきたのは何となく覚えてるけど、手当てなんてした覚えない。

ということは手当てしたのは私じゃないってことだ。
でも普通気づくよねぇ…?


「もしかして覚えてねぇの?」

「覚えてないと言うより…手当てしてないと思う…よ?」

「…したのは確実、なんだけど…まぁ覚えてないならそれで!」

「どれで!?」


よくわからないけど、藤堂くんが焦ってるのだけはよくわかる。
私何かしたのかしら…。


「もしかして私無意識で変な行動してた?」

「いや…してないぜ」

「なら良かった」


気になるけども何かした覚えないし、彼も手当てだけだ、と言っているので大丈夫だろう。多分。


「ところで、へ返事は…?」

「後悔しないのであれば…よ…よろしくお願いします…」

「まじで!?」


こんなイケメン断る理由がない。
なんて言ったって、私は面食いだからな!

そうして私たちは付き合うことになりました。

その後、私が女子から絡まれたり、平助が怪我したり、大喧嘩して校内を巻き込んだりしたのはまた別の話。


「そういえば、あの時って私本当に手当てだけしかしてなかったの?」

「まぁ…(意識朦朧としているのが色っぽくて可愛かったなんて言えねぇ…)」





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お年頃平ちゃん。

(2012.4.1)









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