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キスの訳




<総司視点>

今日は雲が空を覆っていて、スッキリしない。
まるで、なまえの謹慎が解けるのを嫌うように。

口々に聞こえるなまえの悪口に吐き気を覚えて、裏庭へと向かった。


「僕は、一体何しているんだろう」


なまえから逃げて、自分の気持ちから逃げて。
色々考えているうちに夢の中へ落ちていく。



『総司!!見てこれっ可愛い!!』

「え、なまえの目って虫でも湧いてるの?」

『ちょっ酷いっ』


誰が見ても気持ち悪いだろう、マスコットキャラクターをなまえは可愛いと言って止まない。
この子、大丈夫かな…なんて心配になるけど、


『やっぱ可愛いなぁ』


君の笑顔が見れるならいいや。


「なまえの方が、」


可愛い、なんて。


『ん?』

「いや…なんでもないよ」


言えない。恥ずかしくて。

でも、今なら、なまえに…。



「…さん、」


なまえ…?

次こそ手を伸ばしたら届くかな…。


「おっきた…さん…っ」

目を開ければ、そこには以前好きだった女の子。

あれ…僕、今…何している…?


「なんで千鶴ちゃんがここにいるのかな」


バチンッ


左頬に痛みが走り、千鶴ちゃんはそのまま走って行ってしまった。

暫くボーッとしていたら、遠くからなまえが来るのが見えて。
でも、その顔は険しくて。


「僕に何のよう?」


素っ気ない言葉を口にした自分にどうしようもない怒りがこみ上げてくる。


『お別れを言いに来た』

「さっきの…見てたんだ」


こんなこと言いたいわけじゃないのに!!


『まぁね。それもあるけど…それは、ある意味どうでもいいかな』

「え、」


どう、でもいい…?
なまえにとっての僕はそんな程度のものだった…?


『じゃあね』


あまりにも普通に過ぎていった出来事に、僕は只一人取り残されたような気分に浸っていて、なまえの本当の想いなんて気づく由もなかったのだ。












「そんなこともあったね」


若かりし頃の青臭いことを思い出しながら、僕は三食団子を貪る。

午後2時47分の淡い白昼夢。

**********
7700のキリ番を踏んでくださったさくら様に捧げます(^^*)

長編「恋の解き方」の四章の番外編ということでした!!
まだまだ文章にまとまりがなく、申し訳…っ

さくら様に限り、修正・お持ち帰り可です。

キリ番踏んでくださりありがとうございました!!


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