ギフト、短編用 | ナノ




結局は思い通り




「貴方に追い詰められたときは死ぬと思ったわ」

「普通なら死刑でしょうね。あれだけ殺したのですから」


世間は私を狂喜的殺人者と呼んでいた。
それほど人を見境なく殺してしまった。

泣き叫びながら命乞いをする人、怯え足がもつれながらも逃げようとする人、そんな人間の表情が面白くて。

だけれども、そんな私を雇うコイツはもっとクレイジーなんじゃないかと思えた。


「うん。雇い主がエルでよかった」

「当たり前です。なまえを雇えるのは私だけです」


それは、私をいつでも警察に差し渡せるという脅しだろうか?

それとも…。


犯罪者はいつだって誰にだって受け入れられない。
だって悪いことをしたから、当たり前だ。

当たり前だと、そう思っていたのに。

コイツは私に愛の言葉を囁く。
だが、嘘吐きで、頭がきれ、何を考えているかわからないコイツを信じれるわけがない。

そんな私に、「必ず信じますよ」と宣戦布告。


そして見事にコイツの思惑通りになってしまった私。


「何を考えているんですか」

「なんでこんなやつ好きになったかなって」

「酷いですね。私これでも紳士ですよ」

「どうだか」


大の甘党で、自分の思い通りにならないと拗ねるコイツが紳士?
私は呆れたように笑うしかない。


「なまえ」

「うわ!?近…っ!」


気配もそこそこに近づいてきた探偵に赤面してしまう自分はさぞかし素直なことだろう。

あぁ、もう、こんな私が嫌になるわ。


「なまえ!可愛すぎますっ!」


素なのか、計算なのかわからない行動に戸惑う。

しかし、180近くある身体に抱きしめられると流石に…。

酸素、が。


「あがぁ…っ…ぐるじい…!」


と言った瞬間パッと離され、口を塞がれた。

はぁ…全く。

結局私はもうコイツから離れることはできないんだと実感したのだった。





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強引な甘党探偵は今日も強引。

(2011.12.13)









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