うっかり寝言その日、なまえが帰ってきたのは本当に夜遅くだった。 血まみれの彼女を見たとき、血の気が引くかと思ったほど。 なまえが血まみれで帰ってくるのはそうそう珍しくもないのに、いつまで経っても慣れない。 それだけ、俺はなまえに惚れ込んでいるということ。 「あれ、なまえ自身も怪我してたよな…」 救急箱を手に彼女の部屋へ行くと、部屋にはいなく、縁側で寝ていた。 風邪引くぞー…。 「あぁ、やっぱり怪我してんじゃん」 こういうのほっとくからなぁ。 あちこちにできた、痛々しい傷を手当てしていく。 なまえの顔が歪んだりするのが面白い。 「へ…すけ…」 「起きた…?」 目は開いていないし、また再び寝息を立てたので寝言か、とホッとする。 「へ…すけ…うー…」 「ふ、何ちゅう夢見てんだよ」 「いつも笑いかけてくれるの…ずるい…でも…そ…んな…平助が…好き…」 停止。 「…はっ!?」 ななななな何だったんだ!? え、何今の!!! 待って、落ち着け俺! 寝言だから! そう!ただの寝言! 「…ぁ…あれ?平助?」 「うわぁ!?あ、お、おぉなまえおはよ…」 「はよー…何してんのってちょ!手当て!?ごめ、気い遣わせちゃって…っ!」 「いや…そこは大丈夫…」 「そこ?」 くっそ、何でこんなやつが暗殺とか人騙したりとかできんだ!? いや今はそうじゃなくて、さっきの…聞かない方がいいか…。 でも、聞きたい…。 「あのs「あぁ!寝言!」へ?」 「変な寝言言ってなかった!?」 「…いっ…てない…」 「そっか!よかった!」 俺の馬鹿…。 言えるわけないじゃん…。 言えよ…。 いつも通りのなまえに、俺は肩を落とすしかなかった。 ********** 頑張れ少年! (2011.12.4) |