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怖いの




「なまえ!肝試ししようぜ!」


襖を思い切り開けて何を言い出すかと思えば…。


「は、肝試し?」

「そう!いい場所見つけてさ!左之さんと新八っあんと千鶴と総司と一くんと土方さんでやろうって話しになったんだ!」

「ひ、土方さんまで…?」


新選組大丈夫なのか…?

本気で不安になる。
そんな幹部がいない新選組なんて絶好の狙い撃ちだ。

つか土方さん、よく許可したな。


「因みに、どこでやるの?」

「ここ」

「は?」

「屯所で」

「……」


それは許可してもらえたことに納得がいく。


「肝試しねぇ…」

「何?怖いの?」

「ば…っ!なんでそうなるんだよ!」

「いや、なまえだったら俺らとハシャぎそうだなって思ったから…」

「怖くねぇし、やってやるよ」

「なんで喧嘩腰…?」

「うっせぇ」


怖くない怖くない。
第一、幽霊とかいるはずないし、見たことないし、斬れないし、呪ったりするって聞いたし、足ないし…。

…私は断じて怖くないぞ。


「全員揃ったみてぇだな。説明としては、この奥の部屋にある茶碗を持ってくることだ。なんか質問あるやついねぇか?」

「なぁんだ。結構簡単じゃん」

「何もなければ、の話しだがな!」


うわぁ…。
廊下真っ暗だし…。


「なまえちゃん?顔真っ青だけど大丈夫?」

「大丈夫だけど、千鶴ちゃんは怖くないの…?」

「こういうの好きなの!」


千鶴ちゃんが頼もしく見えた瞬間。


「…なぁ土方さん、何かあったら困るからさ、二人一組で行かねぇ?」


平助の一言。
これは私も吃驚したが、ありがとう平助…!


「なんだ平助!怖ぇのか!?」

「ちげぇよ!」

「確かにそうだな…。おし、おめぇら二人一組決めろ」


二人ならまだ安心できる。
一人だと、なんかね、こう変な勘違いとかしそうだし。

と、一人悶々としていたら平助がこちらにやってきた。


「これでちょっとは安心するか?」


間。


「え…なんで…」

「そりゃ見てればわかるよ。なまえが怖いの苦手だってな」


どうやら、鈍感な平助にもわかるぐらい怖がり丸出しだったようだ。


「うぅ…すまん…平助…」

「気にすんな!怯えてる姿可愛いかったし…」

「!?」


は…。
何言った?こいつ。
可愛い?誰が?


「おーい!平助となまえ次だぞー!」

「おー今行くー!ほら、行こうぜ!」

「おう…」


肝試しは心臓が保ちそうにないので早急に終わらせることにする、と心に誓うが、結局誰よりも遅くに戻ってくることになるのは少し先の話し。





(2011.11.22)









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