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月夜に願ふ




「なまえ?どうしたんだ?そんなところで」

「あ、平助」


もうすっかり夜の生活に慣れてしまった私たち。
日に日に化け物へと化するこの身体には太陽の光は眩しすぎる。


「月、綺麗じゃない?」

「え?…あぁ、そうだな…」


そう言って寂しそうに微笑む平助も、以前は太陽のように笑っていたと思う。

いつからだろう、私の思いが絡まり始めたのは。

好きな人を庇って瀕死状態になってしまった私。
そんな私は落若水を使い、こうして生きているわけだが…。


「なんで平助も羅刹になってるのかなぁ」

「ごめん…なまえが守ってくれた命だってんのはわかってたんだけど…」

「…」


それっきり。

黙ってしまった彼に声をかけるわけでもない。
沈黙が心地いいのか、むず痒いのかよくわからない感情に浸るのも悪くはない。


「ただ、」


不意に声を発した平助に目線を移せば。


「なまえを傷つけた奴が許せなかった…っ」


もう、なんて、


「情けない顔してるの」

「情けなって…!」

「あーあ、全く馬鹿だな!平助は!」

「なまえ…」


空を見上げれば、先ほどから変わらず月が綺麗に光っている。


「ほんと…馬鹿だよ…」


月に星に願いを託すかのように祈る。

どうかこの人を、優しすぎる彼を悲しませないで。
犠牲なんて私一人で十分なんだから。


「な、に…考えてんだよ…」

「んーん、なんでも…?!」


一瞬、何が起こったか、わからなかった。

ただ、背中からの温もりが暖かすぎて泣きそうだった。
否、涙が頬を伝ってしまった。

絶対、平助の前では泣かないと決めていたのに。

抱きしめられているんだと知ったころには、私の肩に平助の顔があった。


「へいす…ち、近い…」

「俺、なまえのこと…好きだ…」


ずるい。
こんな至近距離で、耳元で囁かれたら、


「…わ、たしも…好き…」


素直になるしかないじゃない。


「なぁ…本当は?」

「何が…」

「なまえの本音が知りたい」


私の本音…?

平助が好き…いや、愛してる…違う。
伝えたいのはこんな言葉なんかじゃないの。


「私は…平助と、い…生きたい…!」

「やっと言ってくれたな」


振り返れば大好きな笑顔の平助。
ほら、やっぱり平助には太陽みたいな笑顔がよく似合う。


「一緒に生きようか」

「うん…!」







**********
桜音子さまに捧げます。
相互ありがとうございました!

いつもの如く雲に乗った話で申し訳ないです…orz
着地点なんてなかった/(^Q^)\
あわわわわっごめんなさい…!

桜音子さまのみお持ち帰り、修正可です。

これからもよろしくお願いします!

(2011.10.22)









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