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君の色




ボチャン

自ら沈んだこの海。
まだ、まだまだ綺麗な色が見える。

抵抗なんていつから止めただろう。
少し濁った海水の中思う。





私はどんどん沈む。





一つまた一つ。
色を無くしていく。

辺りが黒一色になった頃。


「どこへ行きたい?」


誰も答えない。


「何をすればいいかな?」


誰も応えない。


「ぇ…」


一筋の光。
あたたかくて、優しい光。

縋りたかったソレは波が浚っていった。


「あれは…一体…?」


嘘つきは誰?





私はまだまだ沈む。





だけど、気になる。
あの光。


「あなたは誰?」


知りたい、知りたくない、知りたい、知りたい。


「寝れ、ない」


昼も夜もどこかへ行った海の中。

自由に、自由に泳ぐその姿は綺麗で、ずっと見ていた。

いや、見とれていた。


「あ、」


気づいたあなたはこっちに向かって泳ぐ。


「こんなところで何してんの?」

「……」

「あっちに、行こうか」


上を指すあなたは綺麗な笑顔。
行けるわけないじゃない。


「上なんて知らない」

「俺のこと見てたよね?」

「何の話?」


嘘つきは私。

あなたを置いて下へ泳ぐ。
なんだか頬が熱い気がした。

「あなたのことが知りたいなんて、言っちゃいけないんだよ」





私はわざわざ沈む。





あなたに会わなければ自分の汚れなんて気づかなかったのに。


「沈まないでさ、こっちにおいでよ」


服は真っ黒。笑顔なんて歪過ぎてとてもとても見せられない。

合わせる顔なんてドコにもないわ。


「もうっ放っておいてよっ!!」

「!!」


もう傷つきたくないの。
独りは嫌なの。
誰ともいたくないの。
温もりに触れていたいの。


「ごめん…」

「…!」


いなく、なった。





*********
続きます。

(2011.9.6)









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