長編恋の解き方 | ナノ




13




只今午後3時半ぐらい。
放課後の時間だ。

私は朝の手紙の通り校舎裏へと足を運ぶ。

校舎裏には既に人がいて、予想通り女の子が5・6人。


『予想通り過ぎて怖いわぁ…』


女の子の近くに行くと、胸倉を掴まれて校舎の壁に押し付けられて。


「なんでこんな女が沖田総司様と…っ!」


沖田総司、様…。
その言葉に呆気にとられたが、


『ふ…ははっあはははっ!!』


笑ってしまった。

だって“様”だよ?!
あの総司に様付けしてるって…っ!

笑うしかないよね。


「笑いやがって…調子に乗るなよ…っ」


目の前の女は硬い拳を作り、私めがけて振り落とした。

ボコッという鈍い音と、左頬にくる痛み。


「は…はは…っ簡単に殴られやがった!」

「“あの”みょうじなまえが!」

『“あの”…?』


私が不良だったことは、この学校では総司と左之ちゃんしか知らないはずだ。

じゃあ…?


「お前のこと色々調べさせてもらったんだよ」


後ろから出てきたのは明らかに他の女とは違う雰囲気の、なんて言うか、気高い女。


『あんたが主犯か…』

「そうよ。お前が総司様と付き合ってることが罪なの。わかる?」

『わけわかんねぇ…痛っ…』


口答えするごとに増えていく傷。

しかし、顔を殴ったのははじめだけで。
他は腕や腹ばっかり。
それもそれで痛いんだけど。

主犯の女は私の前髪を掴み、顔を上げさせるとこう言った。


「これ以上総司様に近づけば、総司様を傷つけるわよ?」

『……総司を傷つけたら…お前らを殺す…』


騒ぎ立てる血に従えば、目の前には人1人いなくなる。

恐れをなして逃げる腰抜け共は、「覚えてろよ…っ」と負け犬の台詞を吐き捨てて去っていく。


『痛い…』


残った私は、痛みに耐えながら帰路につくのだった。













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