長編恋の解き方 | ナノ




11




次の日。
いつも通り下駄箱を開けると、一通の手紙が入っていた。

このご時世に手紙かと思いながら見ると、


《放課後、校舎裏に1人で来い。》


の文字の羅列。

ばっからしい、と思い破こうとした瞬間。
下の方に《総司》の文字が見えた。


《ただし、来なかったら沖田総司を》


で終わってる。

変なの。
でも、総司の名前を出されたからには行くしかない。
総司に何かしたら本気で殺しちゃうかもしれないけど。


『ふ…総司みたいなこと言ってる』


それ程、好きなのだ。

だからこの手紙は断るわけにはいかない。
たとえ罠だったとしてもね。


「なまえ!」

『おー左之ちゃん!おはよー!』

「おはよ、どうかしたか?」


左之ちゃんの顔は何時になく真剣で。


『ん?何にもないよ?』


おちゃらけてみせた。

もしかしたら気づかれたかもしれない、なんて冷や汗をかきながらも。


「そっか…何かあったら言えよ?」


左之ちゃんはおっきなその手で私の頭をわしゃわしゃと撫でる。

ちょっぴりくすぐったい。


「すっげー怖い顔してたぞ」

『うそ、まじ?』

「まじ」


私たちは笑いあって、それぞれの教室へと歩みを進めていった。

そんなに怖い顔してたのか…。
気付かれないようにしなきゃね。


『笑顔笑顔!』


今日は有り得ないぐらいの元気で過ごそう。
そう心に決め、私は教室に入った。

入って吃驚することが1つ。


『総司が、いない』


そう。
朝、先に行くと言って先に来ているはずの総司がいないのだ。
鞄もないし、来た形跡すら見つからない。


『一君一君、総司知らん?』

「まだ今日は見てない」

『んーそっかぁ…ありがと』

「総司の事情はみょうじの方が知っているのではないか?」

『最近はますますわからないわ』


にっと笑ってサンキュと言い席に戻る。

そういえば千鶴も見てないなとか思いながら。


『まさか、ね…』


2人でサボりという可能性が頭を過ぎったが、千鶴はそんな子じゃないから違うと、思う。

否、願ってる。













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