魅せるな私は本気の恋をしています。例え叶わない恋だとしても貴方のことが好きなのです。 『はぁー…左之先生かっこいー…』 「なまえちゃん…先生に恋は無謀だと思うよ?」 『千鶴…言わないで…』 担任の左之先生に恋をしてから早二年。千鶴みたく、無理だとみんなが言う。だけど、諦められたら苦労はしないよ。 『左之先生以外考えられない…』 「平助くん待ってるからもう帰るね?」 『おぅーカップルはとっとと行ってしまえー』 笑いながら「ばいばい」って去った千鶴を見た後、やっと気づいた。教室には誰もいない。 『こんな遅くまで一緒に残ってくれていたんだ…』 隣のクラスの藤堂くんと一緒に帰ってる千鶴を見たら、私も彼氏がほしくなる。勿論相手は左之先生で。 『絶対無理だー…』 「何が無理なんだ?」 『だから、左之先生とー…え、は…?』 振り返れば私の想い人が立っている。左之先生は「俺?」って言っているけど、正直私はパニックで。 『あっいや!な、何でもないです!帰りますね!』 ここから立ち去ることしか頭になかった。恥ずかしいし、左之先生と二人っきりだし!あああっ無理!死んじゃう! 「待てよ」 『へ…?』 「顔、赤いぜ?」 何かを企むような、ニヤッと笑う。その笑顔にさえ、ドキッときてしまって。もう、心臓が壊れるのではないかってぐらい速い。 『あぁ!そのですね、夕陽のせいですね!』 「ふぅん…ま、気をつけて帰れよ」 『あ、はい…』 なんか意外とあっさりで、がっかりしている私がいる。ズキンズキンと胸が痛い。所詮、私は生徒。先生からは女なんて見られる筈がない。 そんなこと、わかってたのに。 『さよーなら…』 ドアに手をかけたときだった。私の肩に手があって、それはこれ以上前に進むなと言っている。この手の持ち主は一人しかいない。 『左之先生…?』 「あ…いや、なんだ…そんな悲しい顔すんなよな…?」 『え…』 「なまえがそんな顔してたら、俺まで悲しくなっちまう」 そんなこと言われたら、歯止めが利かなくなるよ…?そんな脳内警告など今の私には無意味だ。 『先生…のことが…好きだからですよ…悲しいのは…』 「なまえ…ぇ…?」 …しまったぁあぁああぁあああ!!何言っちゃってるんだ私! 『な、なーんて!今度こそさよならぁ』 「行かせねぇ…」 『へ…?せ…んせ…?』 振り向けば、真っ赤にしている先生の顔があって、それがまた可愛くて。 「だぁ!お前が卒業するまで黙ってようと思ってたのによ!んな顔されて、告白まがいなことされたら俺だって歯止めが利かなくなるってんだ」 『ふぇ…?』 「好きだ…なまえが」 『は…ぇ…えぇえぇぇえええええぇぇえええええ!!?』 「声大きい…」 『いや、でも私生徒で、先生は先生で…えぇ』 「仕方ねぇよ…お前は魅力的なんだから」 『み…っ…は、恥ずかしい…』 「俺だって恥ずかしいぜ…」 夕陽が落ちる時間まであと少し。 魅了されて 「好きな気持ちに先生も生徒も関係ないだろ?」 『そうですね…っ』 . |