縁側で穏やかな空模様。 今日は非番で、のんびりと散歩をする。 屯所内だけど。 今日は本当に良い天気だと、ほのぼのしながら歩いていると、目の前にポニーテールの男装少女が歩いているではないか。 『ちっづるー!』 「あ!なまえ!丁度良かった、さっき近藤さんからお菓子を貰ったの!お茶しよ?」 この、しよ?ってしたときの顔の傾き具合が、何ともいえない!可愛い! 『勿論』 そこの縁側に腰掛けて、お菓子を頬張る。 甘くてふわふわしていて、君と居るときの時間に似ているねって言ったら真っ赤になっちゃった。 「お、お茶入れてくるね」 転けそうな勢いで入って行くから心配になる。 だけど、行動の可愛さとか、本当にもう。 『好きだなぁ』 相手は女の子なのにね。 きっとみんな私のことをおかしいとか言うんだろう。 はしたないまで言われるかもしれない。 『まぁ気にしないんだけどね』 「何が?」 『私が千鶴のこと好きだって…え?』 「ふーん…なまえちゃんって千鶴ちゃんのこと好きなんだ」 げ。 一番知られたくないことを、ずっと隠してきた想いを、よりにもよって沖田総司に聞かれるなんて。 『一生の不覚…』 「まぁまぁ」 その顔は慰めるようでもなく、ただ楽しそうに… 本当に楽しそうに笑っていた。 「お待たせ!…って沖田さん!」 千鶴のお盆の上には勿論2人分のお茶しかない。 そのことに対して謝っているが、沖田総司は一向に許す気などないらしい。 あろうもことか、口移しで飲ませてくれるなら許す、とか言ってるし。 その言葉に千鶴は赤面してるし…。 「ほ、本当にごめんなさいっ」 『そこぐらいで許せば?』 「何?なまえちゃんやきもち?」 『ー…っせ!』 最っっっ悪! ほら、千鶴がキョトンとしてる!可愛いな! あぁもう、誰か、この鬼畜をどうにかしてくれ! 「そぉおおおじぃいいいいぃいいい!!!!!」 聞き慣れた鬼の声が鳴り響く。 「また“例のアレ”を持ち出したな!」 「なーんだ、もう見つかっちゃった」 「総司待て!」 「嫌です。じゃね、なまえちゃん、千鶴ちゃん」 嵐が去っていった。 てか助かった。 土方さんのオーラが尋常じゃないけど。 「相変わらず凄いね」 『そうだね…沖田総司も懲りないよねぇ』 「ねぇ、なまえ?」 『ん?』 「沖田さんのこと好きなの?」 『は…ぁ…?』 うっかり三色団子を落とすところだった。 なんで?どこから?さっきの会話? 殺意丸出しだったけれども。 鳩が豆鉄砲くらったように呆然としていると、 「大丈夫!内緒にするから!」 と言う。 いやいやいやいやいや待て。 『私が好きなのは沖田総司じゃないから』 「あ、やっぱり好きな人はいるんだ」 『え、いや、その…うん…』 好きな人に好きな人いるんだって言われるのはなんか、悲しい。 でも、今一番吃驚したのは、 『ちづ、る…?』 目の前で千鶴が泣いていることだ。 「ごめ、ごめんね…っ…私がおかしいのは重々承知なんだけど…」 『何を言って…』 「私、なまえが好きなの…!」 耳を疑った。 だって、千鶴が…え? 『千鶴が…私のことを…?』 「うん…でも、わた…し…て、なまえ…?」 これほどまでに嬉しい事などあっただろうか。 腕の中に収めた彼女は、ここから見てもわかるぐらいに真っ赤で。 『私の好きな人は千鶴だよ』 常識を越えて 「え、なまえも…えぇ?!」 『千鶴可愛い』 「本当、なまえちゃんも千鶴ちゃんも鈍感だね…」 ********** 百合百合イチャイチャラブラブhshs。 . |