過去短編 | ナノ




クリスマス




明日、12月25日は恋人達のイベント。
私も付き合っている人はいて、一緒に過ごしたいな、とは思っているんだけど…。


「日向くん!クリスマスパーティーやろう!」


先約が入ってしまったようです。

しかたないから諦めよう、と踵を翻し自室へ戻る。

幸い、三十くんは私のこと気づいてなかったし、よかったと胸を撫で下ろす。


『でも…一緒に過ごしたかったな…』


消極的な私にはもう誘うことなんてできない。

臆病な自分に嫌気すら起きなくて。


『駄目だな…』


ふと顔を上げた先にはあげる予定のプレゼント。


『あげれるかな…明日…』


時計を見ると23時50分を越えていた。
いつの間にこんなに時間が経ったんだろう。

振り返れば、この暗い2人部屋に一人っきりで悶々と考え込んでいたことがわかる。


『えと、寝ようかな』


今考えても拉致があかないので。


コンコン…


突然扉のドアが鳴る。
こんな夜中に誰だろう。


『はぁい…』


ドアを開けるとそこにいたのは三十くん。


「よぉ」

『え、えと、どうしたの?』

「いや…その…」

『あ…入って?』

「お邪魔します…」


ぎこちない動作と会話で、恋愛初心者同士なんだとわかる。


「今日が何の日か、知ってるか…?」

『今日…?イヴ?』

「違う、」

『あれ、もう25日?』

「あぁ…」


時計を見れば、針は12を過ぎていた。


「メリークリスマス」

『はぅ…っメリー…クリスマス…あっ』


私は忘れないうちにプレゼントを取り、三十くんに渡した。


『クリスマスプレゼント…』

「クッキーだ…」

『ケーキにしようかなって思ったんだけど、時間なかったし…い、いらなかったら捨てて良いんだけど…』

「いらないわけないだろ?」


そう言うと、三十くんはクッキーを食べてくれて、「めちゃ美味しい」って言ってくれた。


「俺からも、プレゼント」


手渡されたのは小さな箱。
開ければ小さな十字架がついたネックレスが入っていて、可愛いって思ったのと同時に、嬉しさがこみ上げてきた。


『三十くんありがとう…っ』

「おぅ…そうだ、」

『ん…?』

「今日は一緒に過ごそうな」

『あれ、でもクリスマスパーティーは…』

「ん?断った。俺には可愛い彼女がいるから無理、ってな」


このとき顔が真っ赤になったのは言うまでもない。




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クリスマスネタ第三弾。
だんだんネタが尽きてきました。












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