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ホグワーツの人気者、トム・リドルと付き合い始めてから一ヶ月。

俺は早々に心が折れそうだ。



スリザリンの人気者というだけあり、周囲からの羨望を通り越した嫉妬により陰湿な嫌がらせはさることながら、トム・リドル自身の嫉妬深さ。


まさかあのリドルが此処まで嫉妬深い人間だとは思いもしなかった。



ある日突然「君が好きだよ」なんてサラッと告白してきたリドル。

男だけど顔は綺麗だし好きだと言われれば何となく惹かれる、そんな単純な男だった俺が「じゃ、取りあえずお試しで」と返事をしたのが丁度今から一ヶ月前。あの時の俺と出会えるなら、それは止めておけと助言したことだろう。




最初の頃は良かった。

嫉妬する周囲にも逆に見下し全開の態度で対抗するだけの心の余裕もあったし、何だかんだでリドルとの恋人生活も悪くないなと思っていた。


・・・問題が生じたのは二週間も経たないある日の夜。






「君、浮気したね?」






死んだ目で俺に杖を向けて来たリドルを、俺は忘れることが出来ない。

誰もが寝静まったスリザリン寮の談話室。静かで穏やかな夜に、まさかそんな殺伐とした光景が広がっていたなんて誰も知らない。知っていたら、少しは俺に対する周囲の嫉妬は減ったことだろう。


しかしリドルが死んだ目をしていたのは一瞬だけ。

次の瞬間には目にじわりと涙を浮かべ、その場に崩れ落ちたリドルの身体を咄嗟に支えることが出来た俺は称賛に値する。

俺の腕の中で「捨てないでよぉ」と言いながら泣きじゃくるリドルに俺は何と言えば良いのかわからなかった。



だって俺、その時浮気してなかったし。



全部全部リドルの勘違い。

俺は浮気をしていない。これはディメンターにも誓える。嘘だった場合、あれにキスされても・・・あ、それは言い過ぎだ。あれのキスはどんな理由があれ嫌だ。


おそらくなのだが、リドルが俺の浮気を疑った原因は俺に嫌がらせをしている周囲のせいだと思われる。

大方俺が浮気していると見せ掛け、リドルの方から俺をフらせる計画だったのだろう。


しかしその計画は大誤算を引き起こした。このリドル・・・




「捨て、捨てないでっ、名前・・・」




嫉妬深いのにプラスして、滅茶苦茶しつこい。顔が美人なだけに、薄暗い談話室で俺に縋りつきながらそんな台詞を口にするリドルは軽いホラーだった。



一度浮気を疑ったことが多大な影響を及ぼしたらしい。

翌日からリドルが可笑しくなった。









「名前♥」


可笑しくなる前なら「やぁ名前」とスマートに声をかけてきたリドルが、突然腕に抱き付いてきて甘ったるい声で俺の名を呼ぶようになった。


他の誰かが近づいてきたらあからさまに睨んで威嚇。誰も俺に近付けない。

仕舞いには俺に対する嫌がらせの手紙をラブレターと勘違いして、手紙の送り主に陰湿な呪いを仕掛ける始末。これで教師にバレてないのが不思議で仕方ない。




「名前、何を考えてるの?僕以外のこと?」

「いや、お前のこと考えてたら何か・・・」


「僕のこと?ふふっ、なら許してあげる♥」

ぎゅーっと抱き付いてくるリドル。周囲からの嫉妬の目が殺気を帯びるが、だったら変わってやろうか?俺の心労を知ると良い。



昼間はこんな感じだが、夜はもっとヤバイ。

今日は浮気しなかった?僕よりも良いなって思う子はいなかった?僕に何かして欲しいことは?僕を捨てたりしないって約束出来る?エトセトラ、エトセトラ・・・


俺、ハゲるかも。この歳で、ハゲるかもしれない。やだ、アブラクサスの父ちゃんみたいに後退するなんてやだ!



こんな台詞を毎夜毎夜寝る前に聞かされるなんて、俺が一体何をした。そもそも浮気は冤罪だし、違うと言っても信じてくれないリドルが可笑しい。

というか、は?俺ってそんなに信用ないわけ?確かに顔が良いからって理由でお試しで付き合おうとかいうぐらいにはクソ野郎かもしれないけど、何だかんだで愛着沸いてるからね?俺の恋人可愛いわぁ、とか思ったこともあるからね?


心折れそうとか言ってるけど、まぁこうやって俺だけに甘えてくる様子はちょっと良いかもとか、若干ノロケっぽいことも考えてたりするからね!?

何が悲しくて周囲からの嫉妬と恋人からの嫉妬混じりの疑いに板挟みされなきゃならないんだ!




「・・・ねぇ、名前。本当に僕の事考えてる?さっきから黙ってばっかりだし――」

ぷつんっとくるのがわかった。


俺が腕に抱き付いていたリドルを振り払い、ギロッと睨みつける。

それだけでじわっと目に涙を浮かべるリドルの肩を両手で掴んで、俺は大声を上げた。






「俺を愛してるんなら、黙って俺を信じとけよクソが!」


人間、我慢の限界になると何を言い出すかわからない。






もう限界だ!言うね!






「ひゃ、ひゃい♥」

頬を赤く染めながらこくこくと頷くリドルから送られる熱い視線に、俺は「やっちまった」と内心頭を抱えた。



あとがき

タイトルはその場のノリでしたごめんなさい(元ネタ:某おてて好きなスタンド使い)
嫉妬して二人の関係が険悪になるぐらいなら、主人公の毛根が犠牲になるぐらい異音は気にしません(キリッ



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