※アニメ15話ネタ
おそ松がこの間酒の席で「カラ松は『○○しないと死んじゃう』って言うと何でもしてくれるぞ」なんて言っていたが、果たしてそれは本当だろうか。
前々からこの幼馴染は何か抜けているなとは思っていたが、まさかそんなわかり易い言葉に騙されてほいほい言う事を聞くわけ・・・
「カラ松がキスしてくれないと、俺死んじゃう」
「死んじゃう!?そ、それは駄目だ!」
あ、これ騙されるヤツだ。
何の気なしに呟いた言葉にカラ松はバッ!と勢いよく振り返る。手に持っていた鏡は床に落ちた。
まさかそんなに反応して貰えるとは思ってなかった俺は「お、おう」と頷く。
「名前が死ぬなんて、そんなの俺・・・」
じわりと目に涙を浮かべるその姿に胸がきゅんとなる。
俺は読んでいた雑誌をその場において、ずいっとカラ松に近付いた。
「じゃぁキスして」
「うっ、で、でも・・・」
「あー、死んじゃうよー、死んじゃいそうだよー」
「わーわー!待って!キスするから!」
ドエス程ではないにしても、こうやって涙目で慌てる姿は胸にクるものがある。
小さく唸り声を上げながらもそそそっと俺の顔に自分の顔を寄せてくるカラ松のこの可愛さよ。
トド松とかがいれば、ムービー撮って貰うんだけどなぁ。生憎今松野家にいるのは俺とカラ松の二人だけだ。
静かな部屋で、それも野郎二人で何やってんだかと思われるかもしれないが、そこは割愛。揃いも揃ってクズな六つ子の幼馴染は、やっぱりクズなのだ。今更そんなことで罪悪感を感じたりはしない。
ぎゅーっと目を閉じたまま、ちょんっと触れる程度のキスをして顔を真っ赤にするカラ松に胸がきゅんきゅん煩い。おい、可愛いぞコイツ。
キスしてすぐに離れたカラ松はぷるぷる震えながら「キスっ、したぞ」と唇を抑えている。
「キス、したんだから・・・勝手に死ぬなんて駄目だからなっ?」
「・・・もういっそ殺して」
「し、死ぬなって言ってるじゃないかぁ!」
何だコイツ、天使かよ。天使だったわ。
こんなクズの中で天使が誕生するとか、奇跡だろ。
「名前っ、死ぬな!死なないでくれぇ」
その場にがくりと倒れ伏す俺をカラ松は抱き起こし、抱き付いてくる。
「うー、まじもう駄目かも。死因はカラ松だわ」
「何でだ!?ちゃんとキスしたのに!・・・うっ」
俺の胸に縋りついて泣き始めるカラ松に「あ、ちょっと弄りすぎたかな?」と少し反省。
ごめんごめんと謝ろうと口を開きかけると、ずいっとカラ松の顔が近づいてきた。
塞がれる唇と、かち合う涙で濡れた眼。
中途半端に開いた口から侵入してきた舌に驚きつつもちゃっかり対応しちゃうあたり、俺って下半身で生きてるのかな?と自分に疑問を持ったり。
下手くそなりに一生懸命舌を絡めて来ようとするカラ松の舌を弄ったり吸ったりしてやればカラ松の表情がとろんとろんに蕩ける。
ぷはっと口を放せば息を乱したカラ松が俺の胸に顔を押し付け、ぐりっと顔を動かした。
「・・・これでも、駄目か?」
「え?あぁ・・・」
成程、バードキスが駄目ならディープってか。
不安そうな声を出しながらぎゅっと抱き付いてくるカラ松が可愛すぎて正直まだ死にそうだが、これ以上何か言ったらカラ松は本気で泣き喚いてしまうだろう。
俺はカラ松の頭にぽんっと手を置いて笑う。
「いやー、吃驚。もう完璧治った。カラ松のおかげだな」
ぽんぽんっとカラ松の頭を撫でながら言えば、バッ!と顔を上げたカラ松はにへっと笑って「良かった」とこぼした。
天使だったわ。
キスしてくれなきゃ死んでやる
「あのさぁ、人ん家の居間でいちゃいちゃすんの止めてくんない?」
「!?」
「おー、トド松お帰り」
「ただいま名前。後でムービー送るから」
「おぅ、ナイスだ親友」