何時からだったかな。
高校からの友人だったカラ松くんが可笑しくなった。
卒業してからも交流が少しあっただけの僕を突然呼び出して、尋ねられたのは『俺のこと好きか?』なんて。
嫌いなら友達になってないから『好きだよ』と答えた瞬間にカラ松くんはもっと可笑しくなった。
次の日もまた呼び出されて同じ質問。僕も同じ答えを返す。
それが何度も繰り返されて、何時しかカラ松くんは『俺を好きでいて』と懇願するようになった。『いいよ』と返事をすると嬉しそうな、だけど不安そうな顔をするようになった。
どうしてそんな顔をするのかなんて僕は知らない。
知らないけれど、別に知らなくても良い。カラ松くんは僕が知るのを望んじゃいないから。
僕に何も教えない癖に、カラ松くんは僕の愛ばかりを欲しがって、愛を搾り取る癖にそれを心のどこかで信じず捨てるんだ。
不公平だと思わないこともないが、僕が気まぐれに言った『好き』が彼を狂わせたならそれはきっと僕の責任だから。昔から変なところで真面目だった僕は、その責任を果たすんだ。
「俺を否定しないで、名前」
「しないよ。格好付けてるカラ松くんも、こうやって弱ってるカラ松くんも、全部全部カラ松くんなんだから」
「僕の傍にいて、名前」
「君が望むなら永遠に」
責任は果たすよ。
ほら、今日も僕の愛を受け取りよ。
その不安そうな目で僕を見て、不安そうに震えた身体でさ。
カラ松くんはどうして僕を選んだのかな。
携帯の履歴で一番上に残ってたのかな。
それとも、高校時代お昼を一緒に食べることが多かったからかな。
それともそれとも・・・
まぁそんなことどうでも良いか。
僕は責任を果たすだけなんだから。
「名前・・・僕の、俺のこと、好き?」
「大好きだよ」
「・・・そ、っか」
気まぐれの好きも言い続ければ本当になるようで、僕は本心からカラ松くんにそう言っている。
けれど言われてる方はそうでもないらしく、僕が幾ら好きだと言い続けてもカラ松くんの中の疑念は消えてくれない。
嗚呼、不公平。
先に仕掛けてきたのはそっちなのに。
「愛してるよ、カラ松くん」
「・・・俺も、愛してる」
ぎゅっと抱き付いて来たカラ松くんをぎゅっと抱き締め返した。
愛してください
さて、愛して欲しいのはどちらだったか。