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「べ、べる・・・ベルベ・・・」

「ベルトルト」


「ベル・・・べっ・・・・・・もうベルちゃんで良い?」


「ぁ・・・うん」



そんな会話を繰り広げた初対面の時。




体力だけは人一番あって、けれど頭は緩いその少年の名はカイト。


誰にでもへらへらとした笑みを浮かべていて、種類は違うが何時も緩やかな笑みを浮かべているベルトルトとはすぐに仲良くなった。







「ベルちゃん、ベルちゃん。そのパン一口ちょーだい」

「うん、い――」



「こらカイト。お前自分の分まだあるだろ。ベルトルトも、あんまカイトを甘やかすんじゃない」


ぷくぅっと頬を膨らませるカイトにベルトルトは微笑ましそうに笑う。





「むぅー・・・ライナーは意地悪だ。母さんみたい」


「・・・と言いつつベルトルトからパンを貰うな!」



あーんっとベルトルトからパンを貰うカイトをライナーは怒鳴った。


ベルトルトとカイトはきょとんとした顔でお互いを見て・・・








「だってカイトが甘えて来てくれるのが嬉しくて」
「だってベルちゃんが甘やかしてくれるのが嬉しくて」







あまりに当然の様な顔でそういった。


ライナーは盛大に顔を引き攣らせ「ぁ、そう」と言って自分の食事に戻った。




「ベルちゃん、スープ一口どーぞ」

「はは、有難う」


スプーンで掬ったスープをベルトルトの口に近づけたカイトがへらっと笑う。





「これでお相子ー」

「そうだね」


二人の周りにお花が待っているのをライナーは感じた。



飲んでいた水が異様に甘く感じるのはどういうことか。







「あ。次の演習の時は、三人でチーム組もうね」

「もちろん。良いよね、ライナー」


「・・・おぅ」




「ベルちゃんが疲れたらおんぶしてあげるー」

「じゃぁ、カイトが疲れてもおんぶしてあげるね」

「わーい」



もはやその場だけマイナスイオン発しているのではないかと言うぐらいのほのぼの具合。






「ベルちゃん大好きー」

「僕もカイト大好きー」




その時ライナーは思った。






「(結婚しろ)」




甘えるから甘やかす

(あ、もちろんライナーも大好きだよ)
(ライナー好きー。ベルちゃんの次に)
(・・・おぅ。ありがとな)



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