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※キャラ崩壊注意




あの人ってどんな人?


彼について誰かに聞かれたら、俺ははっきり言うだろう。

人類最強です!と。


けれど最近、俺ははっきりとは答えられなくなってきた。







「カイトカイトっ、やだやだ、俺、カイトと一緒にいるっ!」

「HAHAHA・・・こらこら、リヴァイ君。良い子だから離しなさい」







・・・なんだこりゃ。


ごらんのとおり、彼は何故か俺の目の前では人類最強の兵士・・・ではなく、人類最強の甘えたになるのである。

新兵だった頃の俺が憧れた人類最強は何処へ行った。




ハンジ班だった俺が突然リヴァイ班に移動となったと団長より伝えられた時、俺は正直嬉しかった。


だってそうだろう?

皆の憧れ、リヴァイ兵士長の傍で働けるのだ。


それなりに名誉なことだし、俺としても兵長の傍でいろんなことを学びたかった。





「・・・一緒にいられるなら、良い子じゃなくて良いっ」


正直言って・・・ぷくーっと頬を膨らませている彼から学びたいと思うことはない。



リヴァイ班に移動となったその日のうちに、俺は兵長に呼び出された。

きっと班についての説明や注意事項などを述べられるのだろうと思われたのだが・・・




『カイト・・・俺を甘やかせ』

『・・・はぃ?』




聞き間違いかと思ったが、次の瞬間には兵長が抱きついてきて、その顔を俺の胸にぐりぐりと摺り寄せてくるのを見て『マジか・・・』と顔を引き攣らせる結果となった。


しかも聞けば、兵長は団長に俺を自分の班に移動させるようにと駄々を捏ねたそうだ(ハンジ談)




何故俺なのだろうか。

俺は別に、兵士の中で飛び抜けた才能があるわけでも、飛び抜けた優しさがあるわけでもない。

はっきり言ってしまえば、何処にでも転がっていそうな人材だ。


きっと俺の代わりなどいくらでもいるだろうと思い、ある日『俺、今日は忙しいので別の奴に甘えてください』とお願いしたところ・・・――兵長が泣いた。

自分が何か悪いことをしてしまったのか、だったら良い子にするから、だから捨てないで・・・と、さながら彼氏にすがりつく彼女並みの勢いを出した兵長に、俺はドン引きしたのは記憶に新しい。





「んっ、カイトカイト・・・」

「ぁの・・・ほんと、俺忙しいんですけど・・・これから会議だし」


「いかなくて良い」

「毎度毎度貴方のせいで会議出席できないんですけど・・・」



しかもこの人、外じゃやっぱり格好良い人類最強だから、俺が兵長に足止めされて会議に出席できないことを同僚に言っても信じてもらえない。

どうせサボってるんだろ!などという辛辣な言葉を容赦なく投げかけられる中、事情を知っている団長とハンジさんだけは優しく『お疲れ様』と言ってその日の会議の内容を教えてくれるのだ。




あぁ、俺が同僚たちの間で孤立しているのは確実に兵長のせいだ。


リヴァイ班に移動になる前に仲良くしていた同期でさえも『お前・・・リヴァイ班になって、何か調子乗りすぎじゃないか?』と言って来る始末!!!!

あんまりな周囲の状況と目の前の兵長に俺の胃は常にキリキリしている。


ちなみにそんな俺でも全く友達がいないわけではない。

同じく上司に迷惑しているモブリット君は俺の同志だ。






「カイトは俺を甘やかせばそれで良いの!」

結構童顔な感じの兵長が上目使いとか、更に若く見えるぞ・・・



「ぁー、けど兵長――」

「兵長じゃない、リヴァイ」


「・・・リヴァイ君やーい、俺は忙しいんですよー」

ぎゅーっと抱きつかれているけれど、流石は人類最強・・・肋骨が軋む感じがする。





それにしても、このままじゃ本気でやばいぞ・・・

俺、今回の会議だけはしっかり参加したい。何故なら、今回の会議・・・議題を提示したのは俺自身なのだから。


会議でいわば司会のような役割をするはずの人間が休むとは、これ如何に。

仕方ない。あまりこの手は使いたくないのだが・・・






「・・・良い子にしたら、今日は一緒にお風呂入ってあげます」





その瞬間、兵長の目がカッ!!!と開く。



「!!!ね、寝るときは?」

「・・・一緒です」


「じゃ、じゃぁ良い子にして待っててやる!待ってるから、だから・・・」

顔を赤く染めてもじもじとする兵長。

顔が美形で小柄なだけに、はっきりとキモッ!とは思えないのが悲しいところだ。





「・・・はいはい。行って来るよ、リヴァイ」

「んっ!」


ちゅっとその頬に行ってきますのキスをすれば、兵長は満足そうに笑みを浮かべて「いってらっしゃい」と言った。






人類最強の甘えたさん







パタンッ

静かに閉じた扉。

俺は・・・


「何だあの人類最強っ」


実はじわじわとあの人に絆されているようだった。



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