002
「ダーリン〜♥」
ラムはあたるに抱きつこうとするが、避けられた。
「しのぶ〜!」
「面堂さぁ〜ん♥」
・・・今日も今日とて元気なこのクラス。
宇宙人であるラムとそのラムに惚れられた諸星あたるとその幼馴染としのぶ、そして金持ちで顔もなかなかの面堂。
もちろん、ラム親衛隊の皆さんだっているし、竜之介たちもいる。
いつもどおり。
そう。いつもどおりだったのだ。
パリィィィイイイインッ!!!!!!!!!
その、破壊音が響くまでは。
「げっ!!!」
ラムは窓ガラスを割って侵入した来たモノの正体であるらしきモノを見て、ラムは顔を歪める。
しかし、その次に見た者には、驚いた表情と共に、嬉しそうな目をした。
『・・・何、下僕が主人に怪我負わせるようなことしてるの?』
パリッとガラスを踏んで、そう呟いたのは――
「お久しぶりです。ラム姉様」
「○○〜!!!」
ギュゥッと○○に抱きついたラム。
周りは騒然。
「あ、ちょっと待って姉様。・・・レイ」
ラムに向けていた温かい眼差しと声とは違い、怒った様な目と冷たい声を向ける相手は――レイ。
ラムの元婚約者である。
○○は地球の言葉を話せるらしく、既に地球の言葉に変えている。
「ねぇ、僕はさ・・・そんなに優しくないんだよ?姉様に何時も迷惑かけて、正直ウザイなぁって思ってるけど、わざわざ乗り物として使ってあげてるんだよ?それをさ、何?姉様がガラスの破片で怪我でもしたらどうするつもり?まったく・・・飯のことばっかり考えて、姉様を失望させて、僕まで失望させてさ・・・これ以上どうする気?いい加減、君に見切りをつけてもいいと僕は思うんだよね」
虎牛形態なレイは、ちょっと項垂れる。
さながら、主人に怒られた犬といったところだろうか。
その様子に一同唖然。
あの、ラムを見たら追い掛け回すレイが大人しいのだ!!!!!!!
「○○・・・」
青年の姿になったレイは、ちょっとだけ目じりに涙を浮かべて○○を見る。
「何?姿変えたら、僕の機嫌が直るとでも思ったの?甘いよ。甘すぎる。砂糖菓子よりも甘すぎるよ」
それを軽くあしらい「とっとと帰れば?」とつめたい言葉を投げかけた。
「・・・○○」
「・・・はぁ。いい加減にしてよ。僕だって、そんなに酷いこと言いたくないんだよ?姉様に嫌われたくないから。ほら。いい子に帰ったら、ご褒美あげる」
「○○!」
ぱぁっと嬉しそうな顔をするレイは、そそくさと退場していった。
その様子にため息をついた○○にニコッと笑って言う。
「ラム姉様の弟の○○と申します。以後、よろしくお願いいたします」
その眩しいぐらいの笑みに、顔を赤く染めた者は何人いるだろうか。
「ラム姉様をヤラシイ目で見る野朗は、僕が抹殺しますので、お気をつけて」
その直後の冷たい声に、一体何人の人間が顔を蒼くしただろうか。
・・・計り知れない。
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