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008




教室中の生徒たちがいろいろな声を上げる。


女子は○○の格好良さに、男子は友達になろうと声をかけた。

しかし○○の目には・・・――傷を負っているセブルスしか映ってはいない。



彼はにっこりと笑う。

けれどその腹の中は煮えくり返っている。


そして彼は言うのだ。






「一つ言わせて貰えば・・・私はお前たちのような下等な生き物と仲良くする気持ちなど一切ない。以上だ」






教室が静まり返った。

教師さえ狼狽える中「私の席はあそこだな」と勝手に歩いていく。


ストンッと座った席は・・・



「先ほど振りだな」

「○○・・・」



セブルスの隣。


○○はセブルスの少し乱れた髪を寂しげに見つめ「可哀相に」と呟く。

その言葉にセブルスは「ぃや」と小さく首を振った。


HRが終り、ほかの生徒たちがこちらをちらちらと見てくる。

だが、誰も近づいてはこない。

当たり前だ。序盤からあれだけ拒絶の意を示されれば――





「ね、ねぇ。○○君」

「・・・・・・」

いや、一人いた。



「わ、私、金森菜花っていうの。菜花って呼んでね?」

何処か緊張したような顔でそういう菜花。


しかしセブルスは菜花の目が○○を品定めしていることを知っている。

内心毒づくセブルスの隣の○○は、冷ややかな目で菜花を見た。




「だから何だ」


セブルスが驚くほどの冷ややかな声。

菜花は「ヒッ」と声を上げた。





「おい。俺様の菜花を何怖がらせてんだぁ?」

「・・・誰だ」


「跡部景吾だ。覚えておけ」

菜花を自分の背に隠し、そう言い放った跡部に、○○は興味なさげに「さぁな」と言った。



「手前・・・」

「い、いいの景吾!ご、ごめんね?○○君。突然話しかけたら、吃驚しちゃうよねっ」

「おい菜花・・・手前は悪くねぇだろ。こんなヤツに謝んな」

「けど・・・」


跡部と菜花のやりとりに興味がないのか、○○は「手短にしろ」と冷ややかに言った。




「用事がないなら話しかけるな」

「ぁっ、わ、私、○○君と仲良く――」


「さっきの言葉が聞こえなかったらしいな。仲良くする気は毛頭もない」


まったく友好的ではない○○の態度。

ぴきっと青筋を浮かべる跡部を、菜花が慌てて止めて「ご、ごめんね」と言いながら去って行った。




「あぁ、後・・・勝手に名前を呼ばないでくれないか。この名、気に入っているんだ」

はっきりとした声でそう言い放った○○は、今度は優しげな笑みを浮かべてセブルスを見て。






「名前を教えてくれないか?」

「ぇっ?せ、セブルス・スネイプだ」


慌てて名乗るセブルスに、○○は優しい笑みを浮かべる。

クラスの人間が、聞き耳を立てているのはよくわかった。




「セブルスというのか。ではセブルス、後で私を案内してくれないか」

「け、けど僕も、少し前に転校してきたから・・・」


「別に良い。セブルスが行ける場所に連れてってくれ」



優しい声。

セブルスは心が落ち着いていくのを感じた。




「じゃぁ・・・後で、案内する」

「あぁ。楽しみだ」

微笑みを浮かべ○○は最後に一言。







「私のことは○○と呼べ。特別だ」







クラス中が驚き、そして・・・

「ッ・・・」

ギリッと菜花が歯を噛みしめたのを、セブルスは感じていた。





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