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「どーも。今日から未詳に配属されました、□□っす。どうぞよろしく」
にっこり人のよさそうな笑みを浮かべた○○が未詳へと足を踏み入れたのは、転属を言い渡された日の午後だった。
突然のことで未詳の係長である野々村が「え?」と声を上げた。
瀬文も当麻も彼を不審そうに見ている。
「えーと。突然の転属命令だったんで、そっちに通知が言っていないという事態もあるかもしれないっつーことで、前の部長から貰った通知見せるっすよ。ほら、コレ」
野々村に見せようとした紙は先に瀬文が取った。
「【警視庁特別捜査員派遣部署 □□○○を本日付で警視庁公安部未詳事件特別対策係に転属とする】か。・・・確かにそう書かれているな」
「聞いたことない部署っすね。それ、本物ですか?」
当麻の問いかけに○○は苦笑を浮かべ「本物っすよ」と返事をした。
「取りあえず、今日から未詳でお世話になるっす。若輩者っすけど、ご指導のほど、よろしくお願いします!」
ぺこっと頭を下げた○○に「じゃぁ□□君。君の席は適当に確保してね」と野々村が笑いかけた。
○○は「はーい」と返事をして、きょろきょろとどの机にしようかと探し始める。
「あ。じゃぁココが良いっす」
##NMAME1##が据わったのは当麻の正面の席。
そこに段ボールを置き、中からパソコンやらノートやらを出し始めた。
当麻が「よろー」と声をかけると、○○は笑顔で「よろしくっす!」と言った。
「ぇーっと・・・」
「当麻」
「当麻さんっすね。・・・何飲んでるんすか?」
ゴッゴッゴッと喉を鳴らして何かを飲んでいる当麻に○○は首をかしげた。
「蜂蜜」
「・・・凄いっすね」
「飲む?」
「ちょ、ちょっと遠慮するっすよ」
顔を引き攣らせそう返事をすると、段ボールの中ものを全部出し終え、段ボールをコンパクトに畳んで机の横に置いた。
パソコンを起動させるブゥンッという鈍い音が部屋に響いた時、○○のポケットから今流行の明るい音楽が流れ始めた。
ピッ
「あ。そろそろおやつの時間っすね」
どうやら携帯のアラームだったらしい。
○○は笑顔で逆のポケットからチュッパを取り出した。
「それ何あじー?」
「刺身あんこ味っす」
衝撃的な言葉が飛び出した。それを耳にした瀬文の肩を若干ピクッと動く。
「おぉ!私にも一本頂戴」
「他にもサババニラ味とかあるっすよ?」
「じゃぁそっち」
○○からサババニラ味のチュッパを受け取った当麻は目を輝かせながら包みを取ってそれを口に入れた。
○○もパクッと刺身あんこ味を口に入れる。
「「・・・・・・」」
しばらくの沈黙。
「バカウマ〜!」
「ゲキウマ〜!」
二人の声が部屋の中にこだました。
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