第二の使命よ
※実は前世の記憶があってしかも堅物ヒーローなダドリー氏がハリーに気付かれないようにハリーを助ける話。←
父の名はバーノン・ダーズリー
母の名はペチュニア・ダーズリー
義理の兄弟はハリー・ポッター
そして私、○○・ダーズリー
「○○ちゃぁ〜ん!ごはんよぉー」
「はーい。今行くよー」
私は勉強机の上に参考書を置き、大きな声で返事をした。
部屋から飛び出し、わざと大きな音を立てて駆け下りる。
階段の中腹に来たあたりで・・・
ドンドンドンッ
数回飛んで「ハリー!朝だぞ!」と大声を上げるのも忘れない。
あぁすまない、ハリーよ。だがそれも私の“使命”だ。
ん?使命とは何かって?
・・・それは、私の事情から話さねばならないな。
実は私――前世の記憶があったりする。
それだけではない。
私の前世は、俗に言う・・・“ヒーロー”だ。
私は世のため人のために前世で使命を全うし、最後は死した。そして・・・あぁやっと静かに眠れるのか。そう思った矢先の出来事である。
気付けば母体の中におり、次の瞬間オギャーだ。
冗談がキツすぎると思ったが、もっとキツいのが、此処が生前軽く読んだことのある小説の世界だと言うこと。
何故だ。
神よ、私は使命を全うした。これで安らかに眠らせてくれても良いのではないだろうか。
だが生まれてしまったものは仕方ないのだ。
私は第二の使命――“ダドリーに成り切る”を全うすることにした。
だがしかし、考えても見て欲しい。
ダドリーに成り切ると言っても、私も元はヒーローだ。弱い者を虐めるのは軽くどころか物凄く気が引けた。
しかもダドリーのように暴飲暴食を行ったり、親の脛を齧り続けるのも、私のプライドが許さない。
自分に厳しく、他人に優しく。ヒーローとしての鉄則だ。
「ほら、○○ちゃん。どーぞ」
「有難う、ママ!」
目の前に出されたのは・・・朝にはちょっと多すぎる気がする食事。
ちなみに私の隣りに座っているハリーの皿には成長期には絶対に足りないであろう量しかない。
この扱いの差には大分心が痛むが、これも使命のため・・・!
クッ・・・流石に多すぎるな。後でロードワークにでも行くか。
ちなみに生まれ変わった私は、身体が自由に動くようになってからの特訓は欠かしていない。
しかも、前世のヒーローだった頃の能力は変わっていなかったのだ。これは、この世界でもヒーローをやれという神の思し召しとしか思えない。
ならば私のすることはただ一つ。
――ハリー少年を陰ながら手助けするヒーローとなろう!
日々の特訓のおかげで、私はあれだけの量を食べても、特訓で何とか消化しきれている。
「○○ちゃん。後で一緒にお出かけしましょう」
「うん!」
また沢山私に玩具やら何やらを買ってくれる気らしいが、本当は私にはそんなものいらない。
買うなら、恵まれない子供達のために!そうでなくとも、せめて私の隣でひもじい思いをしている少年に!!!!!
「ハリー。アンタは留守番よ」
あぁぁぁぁああッ!!!!!
少年よ!早く魔法使いになって、ホグワーツにお逃げなさい!
そうすれば、私はヒーローとして君を助けてあげるから!!!!!!!
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