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002




私の朝は、エーフィの頬擦りから始まる。



「・・・ぉはよう、エーフィ」

つい口元に笑みを浮べ、エーフィを撫でると、エーフィは嬉しそうに鳴いた。



私は、自分の顔を見たことがないから、自分の笑顔がどんなものかは知らない。


けれど、それでも良い。

エーフィはちゃんと理解してくれるのだから。






「朝ごはんを食べよう。エーフィ」

エーフィにポロックを用意してから、私は台所に立つ。


目が見えないのに料理をするのは危険だといわれているけど、エーフィが見ていてくれるから大丈夫。

包丁だって、よっぽどのことが無いと使わないし、火を使う料理もしない。


私のエーフィはサイコキネシスを覚えていて、それを応用して私の料理の手伝いもしてくれる。

私が誤って包丁で手を切りそうになったときには、慌ててサイコキネシスで私を止めてくれた。








「さぁ、食べようか。エーフィ」

エーフィに食器を運んでもらって、私は椅子に座った。

いただきます。という言葉の後に、私をエーフィは食べ始める。


あぁ・・・

きっと、コレが平和なのだと思う。


と、いっても・・・私は平和じゃないという環境を知らない。

とても平和な地方に住んでいるのだから。




コンコンッ

「ぁ。エーフィお客さんのようだ」


だから私は、迷わず立ち上がって、玄関へとエーフィと共に歩いていったんだ。

何のためらいもなく扉を開き「どちらさまですか?」と問いかける。


けれど返事はなくて・・・

代わりに――






「ぇー、ふぃ・・・?」

近くにいたはずのエーフィのか細い泣き声と、壁に何かがぶつかる音が響いた。




何が起こったのかわからない。


「な、に・・・?」

わからない。理解できない。

そんな中、私は頬を殴られた。




「グッ・・・」

頬に集まる鋭い痛み。

ドサッと倒れる私。



知らない誰かが、私の家の中にドカドカッと入ってくる。

誰だかわからない。


部屋の中で、ガシャンッという音や、ガサガサッという音がする。

・・・きっと、物色されているんだ。



フラフラッと立ち上がった私は、エーフィのか細い泣き声がする方へと歩く。





「ぇーふぃ・・・」

そっと手を伸ばす。



どうしよう。

横に倒れたエーフィが、起き上がってくれない。




「あぁっ、エーフィ」

私がどうすれば良いのか分からない間に、相手がまた私のところへやってきたのが、気配でわかった。


ドスッ!!!と、今度は蹴られたのだと思う。

私は床に倒れる。




「カ、ハッ・・・」

倒れた私は、なんとかエーフィを守ろうと、手に触れたエーフィを庇うように抱き抱えた。



私が気絶するまで続ける気だろうか。

執拗に殴る蹴るされる私。

痛さがあふれ出す。


「だ、れかっ・・・」






「ねぇ、何やってるの」






私の苦痛の声が響く玄関に、別の誰かの声が響いた。

私は咄嗟に・・・



「エーフィを・・・助けて・・・」



そう呟いていた。





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