001
何時も通りの朝を迎える予定だった。
ここ数年で聴き慣れていた目覚まし時計のスイッチを止めて、ベッドから起き上がる。
部屋から出て、洗面所に直行。顔洗ったり、髪形を整えたりする。
朝食は、昨夜のおかずの残りをレンジでチンして、適当に済ませる。
そのまま今日必要な教材を手に、大学へと出発。
大学が終わったら、ちょっと前からやり始めたコンビニのバイトへ行ってみり、夕飯のおかずを買いに行ってみたり・・・
夜は大学の課題を済ませたり、テレビを見たり、ゆっくり風呂に浸かってみたりする。
そして夜は明日起きなければならない時間に目覚まし時計のタイマーをセットして、おやすみなさい。
それが、俺の何時も通りの朝から始まる一日のはずだった。
そう。
小さな変化こそあれども、大きく変化することないと思っていた朝は、大きく覆された。
「ぇ・・・」
俺は我が目を疑った。
何度か瞬きをして、何度か目をこすった。
けれど、目の前の光景は変わる事はなかった。
それどころか、意識が覚醒するごとに、目の前の光景は鮮明になっていく。
嗚呼、誰か嘘だと言ってくれよ。
俺の朝は、聞きなれた目覚まし時計の音と、見慣れた天井の景色から始まるんだ。
こんな始まり方、ありえないじゃないか・・・!
「――おはよう、アポロニアス」
目を開けた俺を愛おしそうに見詰め、ふわっと微笑む美人なんて、俺知らない。
戻る