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ピーターパンの嘆き




僕は牧野慶に成り代わった。

気付いたのは、宮田司郎と出会った時だった。


それを知った時、僕の中で何かが壊れた。



愛されなきゃ。

愛されなきゃ殺される。

愛してもらわなきゃ。

愛されたい。

愛してください。



生きるためには愛されなくちゃいけない。

だから僕は、精一杯“愛される僕”でいようと決めた。


愛されるなら壊れてると思われたって良い。

護って貰えるなら、子供のままで良い。

そうすれば、僕はずっと・・・生かしてもらえる。


愛してもらえれば・・・宮田さんに殺されることも、きっとない。



殺さないで。

僕を殺さないで。

僕を愛して。

僕と一緒にいて。

僕を生かして。

僕を・・・








「みーやーたーさん」

「・・・牧野さん、はしゃいでると転びますよ」


「へへっ、宮田さん、お手て繋ぎましょう。そしたら、転びません」

「・・・えぇ。そうですね」


誰かがいるときは嫌がる宮田さんも、二人きりなら手を繋いでくれる。

夕暮れ時の村の小道を二人で歩けば、何だか仲の良い兄弟になれたみたいで嬉しかった。



このまま全てが順調に・・・

僕がちゃんと愛されるなら・・・





――僕はずっと、子供のままでいても良い。





大人になんて、ならなくても良い。





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