×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -




004




朝目が覚めて、時計を見る。

まだ時間には余裕がある。


確か○○は、朝の7時半過ぎぐらいに学校にいるんだった気がする。


そんなことを思い出しながら朝食を食べて紅茶を啜った。

『てれび』を見て、この世界のことを少しずつ頭に入れる。




制服の袖に腕を通すときは、酷くドキドキした。此処に来る前に来ていたホグワーツの制服は、ちゃんと洗ってからクローゼットに大切に仕舞ってある。


そういえば、魔法は使えるのだろうかと、ホグワーツの制服のポケットに入れっぱなしだった杖を軽く振って試してみた。

拍子抜けするぐらい普通に使えた。どうやら、僕の基礎能力とやらは変わっていないらしい。




「・・・行ってきます」

誰もいない部屋に向かってそういって、きちんと鍵を閉めて家を出た。


慣れないコンクリートの道をただただ踏みしめ、慣れない建物の間をどんどん進む。

進むにつれて、どんどん緊張してきた。









「此処が・・・」

○○が通ってる学校っ。


ホグワーツとは全く違う造りの学校。けど、東洋の・・・この国では、この造りが普通らしい。

門をくぐって、職員室を探す。




「ぉーい、お前、何してんのー?」

「ぁっ・・・」


突然グラウンドから声がして、そちらを見ればこっちに駆け寄ってくる生徒が一人いた。

手にあるのはサッカーボール。きっとサッカー部だ。


・・・ぁ、確か、本の中にはサッカー部の登場人物がいたはずだ。

よく○○を部活に誘う・・・




「見ない顔だな。もしかして、何か困ってる?」

「ぇと・・・職員室はどこだ・・・?」


僕の質問に、軽く首をかしげながら「職員室?」と言ったソイツはぽんっと手を叩く。




「あぁ!転校生?なぁなぁ、何か日本人離れした顔つきだけど、外国人?」

「ぁ、ぇと・・・イギリスだ」


「へぇ!名前は!?」

「せ、セブルス・スネイプ」


まるで捲し立てるように勢いある声で質問されて、僕はついつい後ずさる。

その代りソイツがずいっと距離を詰めてくるため、逃げるに逃げられない。




「セブルスな!覚えた!ちなみに俺は西園彩斗(にしぞの あやと)!“アヤトン”って呼んでくれよ!」


「・・・ぁ、アヤトン?」

「おぅ!」



やっぱりそうだ。彼は登場人物の一人。

確かサッカー部のキャプテンで、帰宅部の○○をサッカー部に入れようと、常に声をかけているはずだ。


そんな彼がいるということは、やっぱりこの学校には○○がいるんだ・・・!





「よし!このアヤトン様が職員室まで連れてってやる!付いて来い、せぶっちゃん!」

「せ、せぶっちゃん・・・?」


「ニックネームだよ!可愛いだろ?せぶっちゃん!」


「・・・・・・」

そういえば、人に変なあだ名をつけるという特徴もあったな。


ガシッとアヤトン・・・いや、西園に腕を引かれ、職員室の目の前まで連れて行かれる。






「此処だ!せぶっちゃんは、たぶん俺と同学年だよな?同じクラスになれると良いな!じゃぁな!」


俺まだ朝練あるから!と、まるで嵐のように走り去っていった西園の背を見送ってから、コンコンッと職員室の扉をノックした。

中から返事が聞こえ、ガラッと扉を開く。




「ぁの・・・転校生の――」

「あぁ!スネイプ君か!待ってたよぉ!」


僕の言葉を遮ったその教師は「尾崎せんせー!貴方のクラスの生徒、来ましたよー!」と声を上げた。




「はーい・・・」

けだるそうな声。


僕はついつい「ぁっ」と声を上げた。




「ん?何だ、少年。お兄さんの顔に変なモン付いてる?」


ぼさぼさ頭に無精ひげ、少し汚れた白衣。

目の下に隈があって、やる気を感じられない顔つきだ。


「ぁ、いえ・・・」

「ほら、尾崎先生。生徒が驚いてるでしょう。少しはしゃきっとしたらどうですか!」


きっと尾崎先生に声をかけているのは教頭だ。最近、髪が薄くなってきているのが悩みだったと思う。




「へぃへぃ・・・よー、少年。俺は尾崎駆(おざき かける)だ。教科は数学・・・よろしくなぁ」

白衣を着ているのに数学。本を読んだときは軽く違和感を覚えたものだ。



「お前さんのクラスは3年5組。まぁ、付いて来いよ」


3年5組!?

それって、○○のいるクラスだ。



「はっ、はぃ」


「そう緊張すんな。リラックス、リラックス」

ふわぁっと大きな欠伸をしながら尾崎先生は歩き出す。

その後を慌てて付いていく僕。





「よし。名前呼ぶから、その時教室に入ってこいよ」

「はぃっ・・・」


教室の外で待たされて、しばらくして「スネイプ」と呼ばれた。



「は、はぃッ」

声はひっくり返っていないだろうか。


僕は緊張した面持ちのまま、その教室に足を踏み入れた。





戻る