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001




実験と言っても過言ではないかもしれない。


最高の料理人が、自分達と同じようにグルメ細胞を手にしたら・・・

戦力にしたいとか、そういうのではない。


ただただ“実験”。

失敗しても、まったく問題はない程度の、そんな実験だった。




その実験台として、美食會が興味を持ったのは・・・


トリコのパートナーの・・・“小松”という料理人。

トリコと共に、どんどんその能力を高めていく、料理人。




小松を捕えるのはあまりに簡単だった。

ホテルグルメの仕事を終え、帰宅途中を襲えば済む話なのだ。



まったくの無防備さに、攫った本人であるスタージュンは、拍子抜けした程だ。


しかし、それでもまったく手を抜かず、スタージュンは目的を遂行した。

意識を失い、手術台のような場所に縛り付けられた小松を、スタージュンはただ見下ろしていた。




「ぅッ・・・」

「目が覚めたか」


ゆっくりと開かれる小松の目。




「こ、此処は・・・」


困惑の表情を浮かべる小松は、自分が拘束されていることを知る。

自分が美食會に囚われたという状況も、知る。




「私はお前が気になっていた」

「ぇ・・・?」


「私は、次のステップを知りたい」

「次の・・・、何?」


意味がわからないと、目を揺らめかせる小松を、スタージュンは静かに・・・あまりに静かに見つめていた。







「お前にグルメ細胞を移植する」







スタージュンが静かに言った言葉に、小松は「ぇ・・・?」と声を上げる。


まるで意味がわからない言葉に、理解できずにいる小松の目の前に、ジョージョーが現れる。



その手にあるのは何だろうか。と、小松はボーッと見ていた。

けれど、ボーッとしていたのはほんの数秒。


すぐに自分の置かれている状況を理解した。





「大丈夫だ。運が良ければ、グルメ細胞に適応するだろう」

「ヒッ・・・!!!」


注射の針が、小松の腕に近づいた。

小松の目に恐怖が映る。





「嫌だッ・・・!!!」

嫌だ嫌だ嫌だ!!!!


まるで駄々をこねる子供のように、小松は必死に声を上げた。



助けて助けて助けて!!!!タスケテ、トリコサン!!!!!

自分の尊敬する人を、自分のパートナーの名を叫んだ。


怖イ怖イ怖イ怖イ怖イ怖イ怖イ怖イ怖イ怖イ怖イ怖イ怖イ怖イ怖イ怖イ怖イ怖イ怖イ怖イ怖イ怖イ怖イ怖イ怖イ怖イ怖イ――ッ!!!!!!!!!



チクリッと・・・

腕に小さな痛みを感じた瞬間、小松は意識を失った。





「トリコ、さん・・・」

助けを呼ぶその声は、あまりに小さく・・・すぐに掻き消えた。





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