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「怖いですねぇー。屍鬼より怖いですねぇー・・・なぁーんて・・・・・・嘘ですけど」




最初から最後まで台詞を棒読みしたその少年は、目の前の“屍人”の身体に容赦なく木の杭を打ちつけ、地面に固定した。


「残念ですねぇー。屍鬼は、胸に木の杭ブッ刺せば死んだのに、コレは死なないんですねぇー」

ポリポリッとだるそうに自分の頬を掻きながら、少年は薄暗い道を歩いていく。




「言葉が通じないのはつまらないですねぇー。屍鬼は“心”があっただけに、精神的苦痛も味わえたのに、屍人ときたら、ただただ壊れてるだけなんて・・・詰まらないですよぉー」


クルクルッと手に持っている金槌を回しながら少年は呟き、そして無表情のまま「ハァッ」とため息をつくような素振りをした。





「此処は何処でしょーねぇー。卒塔婆ではなさそうですねぇー。淋しいですねぇー」

全ての台詞を棒読みし、無表情を通しているその少年は、手持ちの木の杭がなくなったのか、屍人を金槌で殴って回っている。


ザッザッと、少年は無表情で歩き進めるばかり。






「ぁッ!!!!!!」

そんな少年の姿を見つけたのは・・・




「静信さんは仏教ですがぁー、貴方はキリストか何かですかぁー?牧師さんですかぁー?」

「わ、私はっ、求導師ですッ・・・」



ガクガクッと震えている牧野に、少年はボーッとしながら「へぇー」と興味なさ気に言う。




「求導師様ですかぁー。貴方は屍人ですかぁー?それとも屍鬼ですかぁー?それともそれとも人狼ですかぁー?」

「し、き?ぇと、私は・・・人間ですっ」


「そうですかぁー。生きた人はっけぇーん、第一号ですねぇー」


よろしくぅー。と言いながら牧野と握手した少年は「求導師様ぁー、お名前はぁー?」と問いかける。




「ま、牧野慶です」

「牧野ぉー?僕はぁー、名前って呼ばれてたような気がしまぁーす」


何とも声の上げ下げがない言葉。

全てを棒読みで構成した少年――名前の言葉に、牧野は何となく身じろぎした。



「名前、君・・・ですか?」

「そぅーでぇす。牧野さんはぁ、一人ですかぁー?」


「っ・・・ぇと・・・」


ちらりと知子ちゃんのことを思い出したが、牧野はそれを必死で頭の片隅へと追いやった。






「牧野さんはぁー、自殺願望あるんですかぁー?死亡したいんですかぁー?」

「ぇっ?えっ・・・?」


「だってぇー、武器持ってないしぃー、そんなノロノロしてるしぃー、何時死んでも可笑しくなさそうですよねぇー。まぁ、それでも今まで生きてたってことはぁー・・・結構、しぶといんですねぇー。ゴキブリ並ですかぁー」

「ご、ゴキブリ・・・」

軽く打撃を受かる牧野を無視して、名前は近づいてきた屍人の頭を金槌で潰す。




「ヒッ・・・」

「なぁーに怖がってるんですかぁー?牧野さぁーん。あれですかぁー?自分はか弱い子アピールですかぁー?」


「そ、そんなつもりじゃ・・・」

「まぁ、別に牧野さんのことは、どぉーでも良いんですけどねぇー」


「・・・・・・」

ガクッと肩を落とす牧野に名前はトタタッと近付き、その手を取る。




「・・・?」

「牧野さんは危なっかしぃですねぇー。仕方ないから、僕が起き上がりに対する知識と対処法と虐殺法をじっくり伝授してあげますよぉー」


「ぎゃ、虐殺っ!?」

名前の少年とは思えない発言に牧野は一歩引こうとするが、名前に手をしっかりと握られているために、それが出来ない。






「お医者さんの尾崎先生がいれば、もぉーっとエグいこと教えてくれるんですけどぉー、まぁいいやぁー。とりあえず、出会ったヤツは片っ端から潰すゲーム、がんばりましょー。レッツゴー」

「ぇ、ぁのっ、ちょっ・・・!」


「牧野さんは僕に黙ってついてくれば良いんですよぉー」

「ぇぇえ〜・・・」



おろおろとする牧野を無視して、その手を引っ張りながら名前は目の前の屍鬼の横っ面を金槌で殴りつけた。







「牧野さんはぁー、黙って僕の後ろで守られ解けばぁ、良いんですぅー」

「ぇっ、ぇとっ・・・」


無表情で棒読みな名前は、そのまま屍人を金槌で潰した。






「・・・ね?」






屍人を完全にぐっちゃぐちゃに潰した名前の顔は無表情のはずなのに・・・

何処か清々しい顔をしているように見えたらしい(牧野談)





死亡願望あります?






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