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「#エロ」のBL小説を読む
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- ナノ -
「ビスケットでも食べて待ってて」
「マジか」
ビスケットが並んだ皿をテーブルにぽんと置き再びモブが部屋から出て行く。
持って来た雑誌をテーブルの上で広げつつ、取りあえずビスケットを一枚食べるがすぐにもさもさ感に気付く。
・・・ビスケットオンリーじゃ、口の中ぱっさぱさになるわ。
早くモブ飲み物持って来ないかなーと思っていると、思いが通じたのかモブが部屋の扉を開けた。両手が塞がっていたらしく、扉の開閉は超能力だ。
モブの手にはグラスが二つ。ん?何か中身白くないか?
「ジュース切らしてたみたい。牛乳で良い?」
「おー、何牛乳?」
「『おいしくない牛乳』」
「何ソレめっちゃ興味ある」
読んでいた雑誌の内容吹っ飛んだ。
何ソレ、おいしくない牛乳?それって、不味いの?不味いのか?
目の前に置かれた透明なグラスには真っ白な牛乳が注がれている。
手に持ち臭いを確認するが、異臭は無い。至って普通の牛乳に見える。
同じく牛乳が注がれたグラスを手にしているモブは、気にすることなく牛乳を一口飲んでいる。
モブの様子を見る限りでは、変な牛乳ではないのだろう。
意を決し、俺も一口飲んでみた――
「ん?」
「どうかしたの」
「あぁ、いや・・・この『おいしくない牛乳』ってさぁ、すっげぇ謙遜してるよな。だって、めっちゃ美味いもんコレ」
驚いたわ。
不味いどころか普通に美味い。
「そうだね」
「逆に『おいしくない牛乳』って表記されてるから皆気になって買うのか?あれ?美味いじゃんコレ、みたいな」
「まるで今の名前みたいだね」
「あ、ほんとだ」
ギャップによる驚きもそのままにもう一口。うん、美味い。牛乳嫌いでも多少は克服出来そうな美味さだ。
グラス片手にテーブルの上に置かれたビスケットを一つ口に放る。・・・わぉ。
「牛乳とビスケットの相性は異常だな」
「良かったね」
「ちなみに俺は、牛乳も好きだけどカフェオレも好きだ。珈琲に牛乳どばっと入れるヤツ」
「僕はみかん牛乳が好き」
「あえてあまり売ってないヤツを選ぶよな、お前」
みかん牛乳なんてみたことねぇんだけど。え?スーパーに売ってんの?
「たまに自販機で売ってる」
「マジかよ、今度探してみよっと」
ビスケットと牛乳うまうま。
会話以外は只管にビスケットを牛乳で流し込む作業に没頭していた俺に「おかわりいる?」とモブが超能力で浮かせた牛乳パックを・・・おいモブ、もう面倒になって超能力で牛乳呼び寄せたな。
取り合えず牛乳を注いで貰いながら「そういえばさ」と特に意味も無いけど思いついた事を口にする。
「牛乳ってさ、飲み過ぎるとお腹ぐるぐるなるよな」
「お腹壊すまで飲むからそうなるんだよ」
「お前だって一度はなったことあるだろ?」
「まぁ、あるけど」
「人間、一度は通る道なんだな。乳製品で腹下すって」
「嫌な通り道だね」
「まったくだ」
ほんと、くだらない会話。
けれどモブもさほど気にしてないらしく、自身も牛乳のおかわりをグラスに注いでいた。
・・・ふと思い出したが、今日の夕方は俺が好きなバラエティ番組の特番がある。録画したっけ?
「そういえばさ、モブってバイトしてたじゃん。どう最近」
「師匠のマッサージの腕は凄いよ」
「何それ気になる。え?予約制?」
「たぶん予約しなくても大丈夫」
「マジか、今度行くから場所教えて」
あれ?モブのバイト先って霊能系の事務所じゃなかったっけ?何でマッサージ?マッサージで除霊出来んの?すげー。
「モブ最近バイトとか部活とか忙しそうじゃん。楽しい?」
「うん。師匠も先輩たちもよくしてくれるよ」
「そっか。でもちょっと寂しいなー。昔はよく俺とお前と律、三人で遊び回ったのに」
「名前も肉体改造部入る?」
「俺はあのレベルのマッチョは目指したくないな。お洒落マッチョぐらいが理想」
それに俺、根性とか無いし。と笑えばモブが「そうでもないよ」言う。お世辞とかそういう気の利いた言葉が得意じゃないモブだから、その言葉は本心からなのだろう。照れる。
「褒めたって飴とかガムとかしか出てこねーぞ」
「大阪のおばちゃんだっけ、飴くれるのって」
「人を大阪のおばちゃん扱いすんじゃねーよ」
「ねぇ、その雑誌見て良い?」
「スルーかコラ。良いぞ、何か気になるもんでもあった?」
「占い欄」
「あ、俺も見る」
雑誌を開き一緒になって占い欄を見る。
確かに遊び回ることは減ったが、こうやってたまにモブの家に遊びに来て、くだらない話をするのは悪くないなと思う。
くだらない話
因みに占いはモブが最下位で俺が1位だった。
1位だったのにバラエティの特番は録画し忘れていたんだがどういうことだろう。
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