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※『救いなんてありゃしない』続編。



『んー、僕は別に泥仕合でも良いと思いますよ。何度倒れたって、何度も立ち上がり敵に立ち向かう・・・格好良いんじゃないですか?僕は結構好きですよ』





一瞬にして、好きになった。

別にそんな台詞を言われたのが初めてだったとか、そういうわけじゃない。長いヒーロー生活、似たような台詞を言われることだって稀にあった。


けれど、それでも・・・

○○の台詞だけは、俺の中の奥深くまで響いたんだ。



嬉しかった。もっと言って欲しかった。

○○が好きで好きでたまらなくなって、もっと○○の傍にいたくて・・・






「ん・・・○○」

初めてだったんだ。

自分から誰かと共にありたいと思うなんて。


だってそうだろう。俺は死なないんだ。けれど相手はそうじゃない。気付いたら相手は事故か何か死んでしまうかもしれないし、置いて行かれてしまうのは確実で、だから愛すなんてそんな馬鹿げたこと出来るわけもなくって、だから、だから――







「○○、好き、大好き。俺、○○が好きなんだ」



ソファで本を読んでいた○○の隣に座って身体を寄せて、それでも足りなくって首に腕を回して読書の邪魔をして・・・○○が怒らないことを良いことに、その膝に跨ってキスをして・・・

唾液が口の端から零れた。ぺろりと嘗める。あぁ、○○の味。




何時か○○は死ぬだろう。

けれど俺は生きるだろう。




だったら俺は、○○の傍にずっといる。その死に目だって、俺だけが見るんだ。他の誰にも見せちゃ駄目なんだ。

だから○○は誰にも殺させないし、○○は誰にもあげない。


でも不安なのが、○○自身に嫌われてしまうこと。

どんなに○○が長生きしても、嫌われてしまったら意味がないから。



常に不安なんだ。今はされるがままになっている○○が、何時かは俺以外の誰かを好きになってしまうのではないか。何時か、俺のことを不要だと捨ててはしまわないか。

不安はいくらでもある。だから俺は○○に執拗なまでに触れて、キスをして、それよりも深いことをして・・・



なのに不思議だ。触れれば触れる程、俺の不安は大きくなるんだ。

幸せや愛しさを感じる程、その終わりの影に怯えるんだ。







「・・・ふぅ」

○○が読んでいた本をソファーの脇に置く。

するっと背中に腕が回ってきた。それだけで口元に笑みが浮かんでしまう。




「ほんの少し読書をしていただけなのに・・・」

呆れたように言いながら俺の頬にキスをして「ほら、どうせもっとキスしたいんでしょう?」と唾液に濡れた俺の唇を舐めた。


ぞくぞくとした感覚。笑みを通り越して、にやけてしまいそうだ。




○○が自分から俺を求めてくれる瞬間、俺は幸福でたまらない。

もういっそ○○が俺を殺してくれたらどれほど幸せだろうか。


○○より先に死ねば、俺は○○を失う恐怖に怯えなくても済むのに。

何でだろう。何で俺は、○○と違って死ねないんだろう。


俺は周りが羨ましい。それこそ、死を持つ全ての生き物が羨ましい。妬ましく、憎悪すら感じる瞬間がある。






「ぁ、あ・・・○○っ」

軽いキスをして、もう一度唇を合わせて、角度を変えてもっと深く・・・

あぁ、また唾液が零れてしまった。口の中は○○と俺の唾液で溢れかえってる。




「んっ、ふぁ・・・」


もしもお互いの唾液で溺死出来たら・・・

○○の少し熱くなった視線で焼死出来るなら、○○の抱き締める腕で絞殺されたなら、○○の愛で・・・





俺は今すぐにでも、悦んで死ぬというのに。







死因は貴方が良い





いっそ、このキスで窒息死出来たら良いのに。



あとがき

ゾンビマンさんが依存どころかヤンデレになりそうな罠。
ゾンビマンさんってどうやって死ぬんでしょうね。寿命とかあるんでしょうか。・・・ジーナス博士なら知ってるんですかねぇ。

リクエスト、有難う御座いました!



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