×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -






折原臨也という存在は新羅の紹介で初めて知った。


まだ入学したての高校一年生。

小学校中学校で俺のことを知っている奴等は自然と俺から遠のき、残ったのは数少ない友人の一人である新羅だけだった。


そんな新羅からの紹介。まぁ新羅の知り合いだし、まともなヤツである可能性の方が低かった。

だが・・・






「・・・王子様」

「は?」




「俺の王子様になってよ!!!」


「・・・はぃ?」




此処まで可笑しいヤツとは思うまい。



頬を紅潮させ、勢いよく抱きついてきたと思えば「○○ちゃんラブ!」とか訳の分からぬことを言って・・・

初対面から可笑しかったソイツは、日を追うごとに可笑しくなった。



手始めに、俺に名前を呼べと泣き喚いた。比喩じゃない。本当に泣き喚いたのだ。

慌てて「な、泣くな臨也!」と言えばケロッとした顔で「ふふっ!○○ちゃんが俺の名前呼んだ〜」と笑うものだから、当時の俺はコイツは将来碌な大人にならないと確信していた。


事ある事に俺の事を「王子様」と呼んだり、わざと自分から危険な場所に踏み込んで言っては「助けて○○ちゃ〜ん」と電話してくるもんだから、俺の中での臨也は立派なトラブルメーカーだった。

悪気があるかと言えばそうでもなく、俺が助けに行けば「○○ちゃん素敵!流石は俺の王子様!」と歓声を上げて喜ぶ。悪気が無い分性質が悪い。





そんなこんなで臨也に振り回された高校生活。社会人になったら少しは治まるだろうと思えば、それは大きな誤解だった。


バーテンダーとして働いていた俺に、ヤツは何をしたと思う?







『○○ちゃんが俺以外の誰かにお酒出して微笑むとか駄目だから!絶対駄目だから!!!○○ちゃんは俺だけの王子様なの!全力でその仕事辞めさせるから!!!!!』







そう宣言した数日後、俺は警察に御用された。何してくれたんだ、臨也あの野郎ブッ殺す。・・・とか思っても、殺せてないのが現状だ。

というか何だ王子様って。どう見たって俺は王子様じゃねぇだろ。金髪だからか?金髪に染めてるからか?










「○○ちゃーん」

あぁヤベェな。アイツのこと思い出してたせいで、ついにアイツの声の幻聴が聞こえる様になってきてしまった。


こりゃもうすぐに此処から離れた方が良いな。うんうん、それが良――




「無視しないでよ○○ちゃん!俺泣いちゃうから!」

「・・・抱きつくな」


がばー!っと抱きついて来た臨也に顔を顰める。抱きつかれるのはしょっちゅうだが、街のど真ん中では止めろと何度言ったらわかるのだ・・・




「お前の拠点は新宿だろ。何また池袋に来てんだ」

「○○ちゃんに会いたくなっちゃった」


えへっ!と言う臨也。お前は自分の性別を何か勘違いしてるんじゃないか?えへっとか大の大人がすることじゃない。





「もぉ!折角○○ちゃんのお姫様自ら出向いてあげたのに、出迎えの言葉もないの?」

「ほぉ、お前の頭はついにそこまで可笑しくなったか。安心しろ、俺がすぐに治してやる」

「そう言って拳を振り上げる○○ちゃんはとっても格好良いけど、そんなことしたら俺の頭吹っ飛んじゃうから止めてね?」


その言葉に隠すことなく舌打ちすれば「舌打ちする○○ちゃんも素敵!」とか言われる。・・・コイツと喋ると力が抜ける。




「ねぇねぇ、○○ちゃん」

「あぁ?」

嫌な予感。俺は胸ポケットから煙草を取り出しライターで火をつける。

煙草を口に銜えて肺いっぱいに煙を吸い込む。





「俺さ、今日泊まるとこないんだよね」

「・・・へぇー」


ふぅっと口から煙を吐きだす。

ぴとりと臨也が俺の胸に頬を寄せた。だから街のど真ん中でそれ止めろ。





「久しぶりに、○○ちゃんの愛がたっぷりの手料理が食べたいなぁー」

「愛なんかこれっぽっちも込めた覚えはねぇよ」


あ、今の煙草が最後じゃねぇかよ・・・




「お願いお願いお願いぃ!俺、○○ちゃんが泊めてくれなきゃ野宿する!」

ぎゅぅっと抱きついたまま俺を上目使いに見る臨也。非常に鬱陶しい。

鬱陶しいのだが、此処で冷たくあしらえばもっと煩くなるのは確かだ。








「・・・仕方ねぇな。今回だけだぞ」

「やった!」


嬉しそうに声を上げて「流石は俺の○○ちゃん」と笑う臨也に、俺は小さくため息を吐いた。





まぁ、今日はコイツの好きなもんでも作ってやるか。








やぁ王子様!







・・・なんか、少しずつ絆されている自分がいる気がした。



あとがき

リクエストが【首無でシズちゃん成り代わりで乙女臨也相手】だったのですが・・・
臨也、相当可笑しい人になってます。←

静雄成代り主は臨也に振り回されっぱなしだけど、そんなに嫌いじゃないです。むしろガンガン絆されてます。

心配をおかけしました!
おっと、鼻セレブ有難う御座います^^



戻る