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クロは可愛い。

ちょっとお調子者なところが可愛い。けど実は結構頭が良いところも可愛い。特殊な寝方のせいで付いたトサカのような寝癖も可愛い。


言い始めたら切が無い。兎に角クロは可愛い。


それにクロはとても凄い子だ。

俺はバスケとか全然やってないけど、部活で頑張ってるクロは純粋に凄いと思う。


凄いし格好良いし、なんかこう・・・キラキラしてる。

それを友人に言ったら「キモイ」の一言で切り捨てられたが、それでも構わない。クロ可愛い。









おっと、そろそろクロの部活が終る時間だ。



今日は部活が早めに終わるから一緒に帰ろうと誘ってきたのはクロ。早いと言っても部活が終るまでは時間がかかる。

俺の所属する天文学部は部活があって無いようなものだしと早々に抜け出してしまい、教室でただぼーっとしていた。







「あっ!○○先輩だぁ!」

「ほんとだ!こんな時間まで残ってるなんて珍しー!」







さて、そろそろクロのいる体育館まで行こうかと席を立った時、そんな声が響く。


あぁ部活の後輩だ。名前は何だったかな・・・まぁ、兎に角後輩だ。

後輩の女子二人が「まだ帰ってなかったんですかー?」と近づいてくる。

おぅと返事をすると二人は目をキラキラとさせた。





「じゃぁ、一緒に帰りましょうよ!私達、先輩と帰る方向一緒なんです」


「一緒に?あー・・・」




タイミングが悪い。

当然俺はクロとの約束を優先されるつもりなのだが、この後輩二人が傷つかないようなより良い断り方を考えなければならない。


困ったなぁ・・・と思いつつ頬を掻き、彼女達から少し視線を逸らした。







「あ・・・?」


逸らした先を見て、俺はつい目を瞬かせる。

それにつられ、彼女達の視線もそちらへ向く。







三組の視線が一斉に向いた先。

そこには何故だか傷ついた顔をしたクロがいた。


クロ?と声を掛けようとしたのに、クロは俺に背を向けて走り去って行く。

どういうこと?と首を傾げるのは俺だけではない。後輩二人も何がなんだかわからないという顔でクロの走り去った方を見ている。









「あー・・・悪い、二人共。ちょっとアイツ追いかけるからさ、一緒には帰れねぇや」

そう言うと二人は心底残念そうな顔をしつつも「わかりましたぁ・・・」と返事をした。



返事を聞くや否や走り出す俺。運動部ではないものの、脚には多少の自信がある。



クロの後ろ姿を見失わないように走れば、俺に追われているとしったクロは走る速度を上げた。流石は運動部、瞬発力は抜群だ。

階段を下るまでは見えていたクロの姿が消え、少し焦る。



何処だ?ときょろきょろ視線を巡らせる俺。

まさかもう帰ってしまったのだろうかと思いかけた頃、俺はほっと息を吐く。





昇降口、靴棚を背に膝を抱えるクロがいた。






「クロ?」

そっと近づきながら声をかける。だが返事は無い。


どうしたと言うのだろう。傍に来て、クロと視線を合わせる様にしゃがむ。

クロの視線はななめ下を見たまま動かない。俺と目を合わせるのを拒んでいるようだ。





「クロ、どうしたんだ」

「・・・○○のバーカ」


やっと口を開いたかと思えば軽い罵倒。

本当に、何があったと言うのだろう。

困りながらも理由を聞き出そうとクロをじっと見つめる。



あの傷ついたような顔は確実に俺のせいだろうし、理由があるのならきっちり聞いておきたい。理由が理由なら、謝りたいし。





「クロ、教えて。俺、何かした?」

「・・・・・・」


クロの視線が少しだけ上がる。瞳に映るのは、案の定困り顔の俺。

クロはしばらく俺を見つめた後、不貞腐れた様な顔をした。







「○○の馬鹿野郎」

「うん。馬鹿なのはよくわかった。その馬鹿って言う理由を教えてくれ」




不貞腐れるクロが可愛いとかちょっと場違いなことを考えてしまっているが、きっとクロは気付いていないだろうし大丈夫だ。









「・・・折角、○○と一緒に帰れると思って急いで会いに来たのに、○○は女の子達と楽しそうに話してた」


やっと口を開いてくれたクロ。けど、その言葉には首を傾げるしかない。

楽しそう?まぁ、そう見えなくも無かったか。





「・・・やっぱ、俺の独り善がりだって思うと、虚しくなった」

「独り善がり?」




「・・・○○のことが好きなの、俺ばっかじゃん」




また視線を逸らされる。

じんわりと赤く染まったクロ。目元に少し滲んだ涙。






「・・・クロ、俺の事好きなの?」

「・・・ほら、気付いてねぇじゃん」


また不貞腐れたような、泣きそうな顔。


俺は自分の顔に笑みが浮かぶのを感じた。

それに気づかず俯くクロは「・・・やっぱ独り善がり」と悲しそうな声で呟く。







「クロ」







そんなクロを、俺はそっと頭を抱える様に抱き締める。

腕の中のクロが少し震えた。






「返事聞く前に、独り善がりって決めつけんなよ。俺、クロのこと大好きなんだから」

言った瞬間、クロが俺の腕を押し退け困惑しきった目で見てくる。






「ど、どうせ俺が可哀相だと思ってそんなこと言って――」


あぁもぉ、目は凄く期待してる癖にそんなこと言って・・・

俺はクロがこれ以上何も言えないよう、口を塞いだ。当然口で。










「大好きなクロとさっさと一緒に帰りたいんだけど、駄目?」



クロの唇を軽く舐めて笑えば、クロの顔がぶわりと赤くなっていく。










「だ、駄目じゃないです」

顔を真っ赤にして俯くクロが可愛くって仕方がない。





あの子は可愛い子






「ちなみにアレ、ただの後輩だから。不安になることないからな」

帰り道、人通りが少ないのを良いことに手を繋ぎながらそう言えば、クロは赤い顔のままこくこくと頷いた。

・・・可愛い。



あとがき

ああああああっ、申し訳ありませんッ!!!!
異音、実はハイキュー全然見た事無くって、黒尾様の存在も初めて知りましたすみませんんんんっ!!!!!
努力はしてみたのですが、残念な仕上がりになってしまいました。
折角リクエストしてくださったのに本当にすみませんッ!!!!



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