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魔法薬学研究室、その室内は異様な空気に包まれていた。



居心地悪そうに視線を漂わせるハリーとロンとハーマイオニーの三人。

彼等の前にいるのは、イライラしている○○。そんな○○を呆れたような顔で見つめるセブルス。


何かが違う。何かが可笑しい。


彼等の目の前には、そんな妙な光景が完成されてしまっていた。











事の始まりはグリフィンドールとスリザリンの合同授業。

元より仲が悪い二つの寮は、その日一段と揉めていた。



というのも、その授業が始まる前、ハリーとロンとハーマイオニー、ドラコとグラップとゴイル、その二組が大広間で言い合いをしていた。


始まりはドラコの嫌味で、それに反応したのはハリー。瞬く間に始まった言い合い。

ちなみに、グラップとゴイルに至っては低学年レベルの罵倒しか思いつかないため、主な嫌味はドラコが担当した。




その言い合いは何時の間にか周囲で聞いていた生徒をも巻き込み、グリフィンドールVSスリザリンの図が出来上がってしまっていた。

大広間では決着がつかなかった彼等の闘いは魔法薬学の授業の中でも続いてしまい、最終的には互いの大鍋に異物を投げ合うという幼稚且つ悪質な行為へと変わった。



その結果が、大鍋の大爆発と、爆発した液体から生徒を守ろうとした教師二人の――中身が入れ替わるという、何とも奇妙な出来事の始まりだ。








「お前たち!こんなことをして、ただで済むと思っているのか!!!!」


ハリー達の前には腕を組み大声を上げる○○。

セブルスは部屋の隅で黙って腕を組んでいる。



現在○○の中身はセブルス、セブルスの中身は○○ということになっている。






「でも○○先生、最初に嫌味を言ってきたのはマルフォイで――」

「違うわハリー、スネイプ先生よ」



ハリーの言葉にハーマイオニーが慌てて訂正するが、重要なのはそこではない。




ハリー達が呼び出されたにも関わらず、ドラコや他のスリザリン生はあっさりと帰されてしまった。

セブルス(見た目は○○)にとっては、もとより全責任はハリーにあるらしい。


視線で○○に助けを求めたくても、今の○○の見た目はセブルス。何となく助けを求め難い。






「・・・セブルス、その辺にしておきなよ。僕等も元の身体に戻るためにいろいろ調べないと」

「○○、しかし・・・」


「この姿で何を言っても、混乱を招くだけだよ」


全くもってその通りだ。




○○を諭すセブルスの姿なんて、通常なら絶対見られないだろう。

ハリー達にとっては、自分たちをさり気なく庇うセブルス、という図になってしまっている。異様を通り越して何やら気持ちが悪い。






「・・・処罰は全てが解決した後で決める。早く次の授業へ行きなよ」

「は、はいっ」


○○(見た目はセブルス)に言われ、ハリー達はそそくさと研究室を出て行った。






残された二人。セブルスはその場で頭を抱えた。


「何でこんなことに・・・」

「自分が頭を抱えてしゃがみ込む姿なんて、あまり良い気分しないよね」

「○○は何故そんなに冷静なんだ」


しゃがみ込んだままじとりとした目を○○に送る。セブルスの顔をした○○は涼しい表情を浮かべている。






「これが全く知らない他人だったら耐えられないけどね。相手はセブルスだし」

「そ、そうか・・・」


その言葉になんとなく嬉しくなってしまったセブルスだが、今はそれどころではない。

グリフィンドールとスリザリン、両者投げ込まれた異物は早々何だったのかわからなくなっていた。


何がどう入ってしまったのか、それがわからない限りは治す薬も作れない。

運が良いことに爆発した液体は少量ではあるが回収することが出来た。これを元に、治す薬を見つけるしかない。






「まぁ、そう時間はかからないでしょ。さっさと治すよ」

「わかっている・・・だが、その・・・何だか妙な気分だな。自分が目の前にいるというのは」


「そうかもね」



薬に関してはセブルスに任せる気なのだろう。早々に椅子に座り本を広げ始めた○○をセブルスは咎めることはなく、せっせと薬を作る準備を始めた。

読書をする○○の傍で薬を作り始めるセブルス。さり気に紅茶を要求してきた○○に紅茶を用意するだけの優しさには感服するのだが、見た目はセブルスに献身的な○○の図だ。やはり異様。





本のページを捲る音と、薬を煮込む音。

その二つの音だけが研究室に響く中、セブルスがふと「○○・・・」と口を開いた。


本から顔を上げ「何」と返事をする○○にセブルスは「あぁ、いや・・・特に重要な用事ではないのだが・・・」と困ったように眉を下げた。






「も、もしもだが・・・」

「うん」



「このまま、互いの身体が元に戻らなかったらどうする」


「何、薬出来そうにないわけ?」

「もしもと言っただろう。○○は、どうするんだ」



真っ直ぐとした、何処か期待したような目。

○○はその目をじっと見つめ返し、それから短いため息を吐いた。




「そんなの、決まってる」

ぱたんっと本が閉じられ、○○の目は真っ直ぐセブルスを見た。





「変わらないよ」



「変わらない・・・?」

その返答に小首をかしげるセブルスに○○は「そうだよ」と頷く。





「今までと同じ、セブルスの隣にいるだけ。それ以上、何か必要なわけ?」




○○の姿をしたセブルスは、無言のままセブルスの見た目をした○○に抱きついた。








入れ替わってますが何か?






結局のところ、愛し合う恋人同士はたとえ入れ替わったとして、特に変わらないものなのだ。



あとがき

入れ替わりネタということで、二人に入れ替わって貰いました。
基本、混乱するのはセブルスで、コウ君は特には変わらないです。

・・・イライラしたり大声で怒鳴ったり、そういうコウ君は見ていて面白いと思います。



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