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愛された少年がいた。


少年は一人の男に深く深く愛されていた。

少年の名はナマエ。男の名はレオン。



身寄りの無い少年は自分を愛してくれるレオンに依存していた。

レオンも自分に依存していると知って、少年を更に甘やかした。


自分にもっと依存するように。どろどろに甘やかし、自分無しでは生きられないようにした。

まんまとレオンの思惑通りにレオンに依存した無知で可哀相な少年はあっさりとレオンに捕まった。レオンの用意した部屋に連れて行かれて、外に出られなくされてしまったのだ。



しかし依存していたのはレオンも同じだった。少年を誰の目にも触れさせたくはなかった。

だから少年を閉じ込めた。宝物を仕舞うように、閉じ込めた。



閉じ込めてしまえばもう安心だった。


家に帰ってくれば独りに怯えていた少年が泣きながら飛びついてくる。

独りぼっちにしないでと泣きじゃくる少年を甘やかして甘やかして、もっと依存させる簡単な作業。


安心したからこそ、その後が粗雑になってしまったのだろう。



エージェントとしての仕事で少年に会わなくなった。
酒に溺れて外で飲み歩く様になった。
酒に酔った勢いで女を連れ込むkとだってあった。



気付けば少年は家の中で独りぼっちになっていた。自分を部屋に押し込めた男は、今日も知らぬ女と共に酒を飲んでいるのだ。



少年はレオンに依存していた。だからこそ、耐え切れなかった。

耐えられるほど大人じゃなかった。耐え続ければ限界がくるのが当然だった。


だからある日少年は言ったのだ。






「レオン、僕もう厭きちゃったよ」






「あき、た?」

久しぶりに家に帰ってきたレオンにナマエはそれはそれは清々しい笑みを浮かべている。



「レオンは帰ってくるのが遅いね。家で僕が大人しく待ってて上げてるのに、君ったら毎晩毎晩お酒ばかり。挙句の果てには知らない女を僕らのお家に連れて来たろぅ?流石の僕も限界を超えちゃってね、もう君の世話になるのは止めようと決意したんだ。あぁ、止めても無駄だよ。君の次にお世話になる相手はもう決めてるんだ。君が帰ってこない間に君への荷物を届けに来てくれた宅配業者の人なんだけどね、それが随分と好青年でね、僕一目で気に入っちゃったよ。君とは違って誠実そうだし、この後すぐに迎えに来てくれるんだ。だからもう君はいらないよ。君が僕を捨てるんじゃない、僕が君を捨てるんだ。家の中に閉じ込めたからって手に入れた気になって手入れを怠るような怠慢な所有者は所有物の方から捨てる。これって普通じゃない?あぁ、心配しないでレオン。君にはちゃんと君を愛してくれる人がいるじゃないか。えーっと、誰だっけ昨日の夜の美女は・・・あぁ、ジェシーだっけ?あの子本気で君の事好きらしいし本当に付き合って上げれば良いよ。僕なんてもういらないでしょう?ね?じゃぁねレオン。もう僕には金輪際近づかないでね。だってレオンの愛は誠実じゃないんだもん。誠実に僕だけを見続ければ良かったのにそれをしなかったレオンが全部悪いんだ。ヤンデレになるのは結構だけど、閉じ込めるだけ閉じ込めて放置するような馬鹿はこっちから願い下げだよ、じゃーね、レオン」


自分が帰ってくると泣きながら喜ぶぐらい自分に依存していたはずの少年が清々しいまでの笑顔でレオンに言い放つ。


レオンは意味がわからなかった。酒で混濁していたはずの意識は妙にはっきりとしていた。

ナマエは「それじゃ」と言いながら扉の方へと歩いて行く。


自分無しではまともに生活出来ないぐらいに世話を焼いてどろどろに甘やかして依存させていたはずなのに、相手はあっさりこの家を出て行こうとする。

レオンの頭の中は妙にはっきりと、けれど大いに混乱した。まともな思考が出来ない程に。



あぁっ、行ってしまう。どうしよう止めなくちゃ、けれどナマエの目も言葉も全部全部本気だった。どうしたら良いんだ、どうしたら確実にナマエは脚を止めてくれるんだ、あぁナマエナマエナマエナマエナマエナマエナマエナマエ――


気付けばナマエは傍にあった花瓶に手を掛けていた。

それを気付けば振り上げて、気付けば振り下ろして・・・




ゴッ!!!!とナマエの頭が割れる音がした。





「あ・・・」

レオンの口から間抜けな声が零れ落ちる。


ナマエの身体が重力に従って床へと倒れた。

しまった、やってしまった。慌ててナマエの傍にしゃがめば、ナマエはゆっくりと瞬きをした。あぁ良かった生きて――






「ばいばい」

ナマエがにたりと笑った。






頭から血が流れている。レオンが慌ててその頭を手で押さえた。駄目だ、指の隙間からどんどん血が流れている。ナマエの目からどんどん光がなくなっていく。あぁ、そんなまさか・・・

・・・レオンの目の前には、物言わぬ死体だけが残った。


















結局のところ、ナマエがこの後来ると言っていた宅配業者の男なんて来なかった。


全部全部猿芝居。

出て行くフリして、ナマエはレオンに自分を殺させた。


生きていればまた会えるなんてそんな馬鹿な幻想すら抱かせず、愛する者をこの手で殺したという恐怖を植え付けて・・・

ナマエはレオンの手の中から出て行った。その命をもって。







ヤンデレ監禁ENDの結末






あとがき

ヤンデレに監禁されるENDって、監禁された方は部屋から出られないけど監禁した方は自由に外に行って買い物やら何やら出来たりするって、何だか不公平な気がします。24時間誰の目にも触れさせたくないなら24時間一緒にいるのが筋だと思います。
・・・いっそ、ネット通販で生活すれば良いの。←

って考えたら出来た話です。
断片的な上に短くて申し訳ありませんorz



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