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永遠なんてないんだよ




好きだと言われた。




俺よりも大分温かい体温を持ったリーマスによって抱き締められた俺は、驚くぐらい冷静だった。

驚くことなく、ただ抱き締められているだけの俺は、酷く滑稽だったことだろう。



けれど、嫌だったわけじゃない。


リーマスに抱き締められるのは、酷く満たされる感覚だったのだから。

嫌じゃないんだ。満たされるんだ。けれど・・・







「・・・・・・」


明け方になった帰って行ったリーマスのことを考えながら、俺はゆっくりと息を吐いた。


全身がだるい。

俺の体力がどんどんおちていくのが分る。



俺はどんどん死に近付いていっているんだ。



もう後戻りは出来ない。

俺は消えるしかないんだ。


そう思うことしかできないネガティブな俺。




仕方ないじゃないか。

死の恐怖は日ごとに増し、俺を蝕んでいくんだ。



けれども、リーマスと出会ってからは、その侵食はゆっくりとしていた気がする。

リーマスに俺の弱音を聞いてもらうという毎晩の日課は、確実に俺の心を救っていた。








――○○が好きッ








必死なその声は、全然嘘を見出すことが出来なかった。

だから、きっと本気なのだろう。




俺はわからないんだ。


ずっと病室という名の牢獄で過ごしていた俺は、世界を知らなさ過ぎたんだ。



リーマスのことも良く知らない。

ただ、毎晩病院に忍び込んでくる少年としか知らない。


何処に住んでいる?何処の学校に通っている?どうして俺を訪ねてくる?

全然わからない。




何故俺のところに来るのだろう。

それはきっと、俺のことを好いてくれているから。


けれど、俺にそんな魅力があるとでも言うのだろうか。


死にかけている俺は、害虫と同じではないだろうか?

そうとしか自分を認識できない。





「・・・リーマス」

ぽつりと名前を呼んでも、昼間の病室で俺の言葉に返事をしてくれる人間はいない。



夜になればやってくる少年。

何時の間にやら少年がやってくるのを待っている俺は・・・






きっと、今すごく人間らしいだろう。







コンコンッ


「はぃ・・・」


ノックされた病室の扉。

小さく返事をした俺の目の前には、この病院の医者がいて――





「○○君。これが・・・――君の最後の手術になるかもしれない」

「・・・そうですか」






短い夢物語だった。

俺は小さく笑った。


リーマス・・・












「・・・永遠なんてないんだよ





楽しい夜を有難う。


もう・・・

終わりかもしれない。






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