テレパシー会得
《燐SIDE》
何故だか、酷く淋しかった。
特に何かがあったわけではない。
けど、その日は朝から調子が悪くて・・・
周りの声が雑音にか聞こえなくて・・・
俺だけが、世界で孤立してるんじゃねぇかって感覚に陥っていた。
淋しかった。
独りで、校舎の外にある木々が多い茂る場所へと行く。
静かで・・・
雑音は聞こえない。
けど、寂しさは消えねぇ。
それどころか、どんどん増幅されていくみてぇだ。
木の根元で膝を抱えるように座り込む。
グィッと顔を膝に押し付ければ、周囲への意識は完全にシャットアウトできた。
胸の中に広がる、黒い何か。
気を抜けば、その黒い何かに飲み込まれてしまいそうだ。
「・・・・・・」
○○・・・ッ。
心の中で○○を呼んだ。
けど、来てくれるわけない。
心の中で助けを求めても、○○が来てくれるわけがない。
○○に助けて欲しい。
けど――
「みーつけた」
「ぇ・・・?」
突然頭上から響いたその声に、俺はバッと顔を上げる。
そこには、満面の笑みを浮かべた○○の姿。
「な、んで・・・」
頭の中を疑問が支配する。
○○は俺の言葉に、笑顔で言う。
「だって、燐が俺に会いたがってる気がしたからさ」
にっこりと笑った○○は、すっと俺に手を差し伸べた。
「ほら。そんなところに座り込んでないで、一緒に行こう」
「・・・ッ」
その手は優しくて・・・
「ぉう・・・」
ゆっくりと、けれどしっかりとその手を掴む。
グイッと引っ張られて、俺はあっけなく○○の腕の中だった。
「燐・・・燐は、独りじゃないさ」
「!」
何でだよ。
「・・・何で、俺の考えてること、そんなにわかってくれるんだよ・・・」
グイッと○○の首筋に顔を埋める。
変な言い方かもしれねぇけど・・・○○の優しい匂いがした。
「んー?」
俺の言葉に、○○が笑った気がする。
「簡単なことさ」
「・・・?」
「俺が、燐を、とーっても愛してるからだ」
優しく頭を撫でられた。
「○○・・・」
「燐が俺を求めてくれるなら、俺は何処までも燐を助けに行くから」
嗚呼ッ・・・
俺の中の黒い何かが、徐々に晴れていくような感覚。
「俺は、燐と・・・ずっと一緒だよ」
ずっと一緒・・・
俺の前から消えないでいてくれる・・・
「ッ・・・ぅ、○○」
目から溢れた涙が、○○の肩口に滲みた。
「俺は此処にいるよ」
「んっ、○○・・・」
ギューッと抱きつく。
○○は小さく笑って、俺を抱き締め返してくれた。
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