×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -



テレパシー会得




《燐SIDE》


何故だか、酷く淋しかった。


特に何かがあったわけではない。

けど、その日は朝から調子が悪くて・・・

周りの声が雑音にか聞こえなくて・・・


俺だけが、世界で孤立してるんじゃねぇかって感覚に陥っていた。







淋しかった。


独りで、校舎の外にある木々が多い茂る場所へと行く。






静かで・・・


雑音は聞こえない。

けど、寂しさは消えねぇ。


それどころか、どんどん増幅されていくみてぇだ。





木の根元で膝を抱えるように座り込む。

グィッと顔を膝に押し付ければ、周囲への意識は完全にシャットアウトできた。



胸の中に広がる、黒い何か。


気を抜けば、その黒い何かに飲み込まれてしまいそうだ。





「・・・・・・」

○○・・・ッ。


心の中で○○を呼んだ。


けど、来てくれるわけない。

心の中で助けを求めても、○○が来てくれるわけがない。



○○に助けて欲しい。

けど――












「みーつけた」







「ぇ・・・?」

突然頭上から響いたその声に、俺はバッと顔を上げる。


そこには、満面の笑みを浮かべた○○の姿。



「な、んで・・・」

頭の中を疑問が支配する。


○○は俺の言葉に、笑顔で言う。







「だって、燐が俺に会いたがってる気がしたからさ」

にっこりと笑った○○は、すっと俺に手を差し伸べた。







「ほら。そんなところに座り込んでないで、一緒に行こう」

「・・・ッ」


その手は優しくて・・・



「ぉう・・・」


ゆっくりと、けれどしっかりとその手を掴む。

グイッと引っ張られて、俺はあっけなく○○の腕の中だった。





「燐・・・燐は、独りじゃないさ」

「!」





何でだよ。


「・・・何で、俺の考えてること、そんなにわかってくれるんだよ・・・」


グイッと○○の首筋に顔を埋める。

変な言い方かもしれねぇけど・・・○○の優しい匂いがした。



「んー?」

俺の言葉に、○○が笑った気がする。


「簡単なことさ」

「・・・?」







「俺が、燐を、とーっても愛してるからだ」


優しく頭を撫でられた。







「○○・・・」

「燐が俺を求めてくれるなら、俺は何処までも燐を助けに行くから」



嗚呼ッ・・・


俺の中の黒い何かが、徐々に晴れていくような感覚。

「俺は、燐と・・・ずっと一緒だよ」


ずっと一緒・・・

俺の前から消えないでいてくれる・・・






「ッ・・・ぅ、○○」


目から溢れた涙が、○○の肩口に滲みた。





「俺は此処にいるよ」

「んっ、○○・・・」


ギューッと抱きつく。

○○は小さく笑って、俺を抱き締め返してくれた。



テレパシー会得







戻る